【日産 スカイライン タイプP 試乗】強烈な加速Gと先進性は評価しつつ今後の熟成に期待…青山尚暉

自動車 ニューモデル 新型車
日産 新型 スカイライン
日産 新型 スカイライン 全 12 枚 拡大写真

13代目新型『スカイライン』は「プレミアムアスリートセダンとしての欧州車に匹敵する基本性能」、「ハイブリッドのみの展開」、「ステアリング・バイ・ワイヤの新ステアリングシステム」、「世界最高峰の全方位安全性能」などがアピールポイントとのことだ。

ハイブリッドシステムは『フーガ』譲りの1モーター、2クラッチ方式。エンジンは3.5リットルV6。システム最高出力364psはフーガ同様だ。このことからもパワー指向のハイブリッドシステムということが分かるが、車重はフーガより大人1人分軽いのだから、その動力性能は推して知るべしだ。

注目すべきは世界初のステアリング・バイ・ワイヤのダイレクトアダプティブステアリング。つまりは電気信号でステアリングの入力を位相遅れなくタイヤに伝えられるというシステム。シャフトは"保険"のために存在し、通常はクラッチ部分が1mm離されていて連結はされていない。

室内空間は、タイトなコクピット感と先進感をミックスさせた運転席の上質さもさることながら、おおっと思わされたのは後席の居住感覚だった。前席に対してセダンとしては例外的に高めの着座位置によって、前席を見下ろすシアター感覚が新鮮だ。身長172cmのドライバー基準でニースペースは185mmとけっこう広い。後席に陣取れば、それはそれは気分がいい。

17インチタイヤを履くメーングレードのタイプPで走りだせば、気になるステアリングフィールは「スタンダードモード」では適度に重目のタッチを示し、普通に走っている限り違和感はほぼなく、路面からのインフォメーションもちゃんと伝わってくる。キャッツアイを乗り越えたときのショック、振動が気にならないのは、ステアリングシャフトが連結されていないのだから当然…というか、不思議な感覚ではある。

動力性能は強力だ。0-100km/hは4.9秒と文句なく速い(メーカー値)。V6ユニットは高回転で「コーッ」という快音を発し、エコハイブリッド車とは一線を画す強烈な加速G、パワフルさ、そして速度、エンジン回転数を問わず高質なフィールを堪能できる。

もっとも、「エコ」、「スポーツモード」、96の特性を選べる「パーソナルモード」を備えるドライブモードセレクターを「スポーツモード」に入れるとパワステはがぜん重くクイックになるものの、やや違和感ある人工的な味付けに感じられたのも事実。トルクが出すぎの感ありで、たとえスポーティーに走るシーンでも、走りやすさ、扱いやすさから「スタンダードモード」のほうが好ましいと思えたほどだ。

80km/h+でもEVモードに入り、試乗時の実燃費は高速80km/h巡行+山道の登り&下りのトータルで11.8km/リットル。パワー指向のハイブリッド車としては悪くない燃費性能を発揮する。

17インチのランフラットタイヤを履くタイプPの乗り心地に関しては、悪くはないが、欧州プレミアムセダンのような"感動"の域には達していない…ように思えた。そのあたりは今後の熟成に期待したい。

それはそうと、古くからのスカイラインのユーザーは「日産」ファンでもあるはず。そうしたユーザーが日産のエンブレムのないスカイライン、日本ではブランドが認知されていないインフィニティのエンブレムを付けた500万円前後のスカイラインをどう受け止めるのかが興味深い。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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