超高速インターネット衛星「きずな」世界最高速3.2Gbpsの衛星伝送に成功

宇宙 テクノロジー
超高速伝送実験概念図
超高速伝送実験概念図 全 3 枚 拡大写真
2014年5月12日、情報通信研究機構(NICT)は、超高速インターネット衛星『きずな(WINDS)』と同機構が開発した2.4メートルアンテナ搭載大型車載地球局を組み合わせ、世界最高速3.2Gbpsの広帯域伝送を実現したと発表した。

超高速インターネット衛星『きずな(WINDS)』は、JAXAとNICTが開発し、2008年2月に打ち上げられた高速衛星通信技術を実証するための衛星。日本と東南アジア向けの通信を行うKa帯の固定マルチビームアンテナと、アジア向けの広域電子走査アンテナ(アクティブ・フェイズド・アレイ・アンテナ)を搭載し、アジア太平洋全域でデジタル・ディバイド解消や災害時のように機動性を必要とする状況での衛星通信手段を提供する。搭載された1.1GHz帯域幅の622Mbps衛星中継モードを用て、これまで最大1.2 Gbps伝送に成功していた。また、直径45センチのアンテナを持つ可搬型の小型地球局では、下り最大155Mbps、上り6Mbpsの送受信が可能だ。

今回、WINS衛星とNICTが開発した直径2.4メートルの展開型オフセットパラボラアンテナと175ワットのハイパワーアンプを搭載した新型大型車載局を組み合わせ、打ち上げ時の5倍となる 3.2Gbpsの広帯域伝送に成功した。1.1GHz伝送帯域内で16波の周波数多重化を行うことで成功したという。また、NICTが開発した多チャンネルのハイビジョン映像を同時に同期させて伝送する「マルチチャネル映像伝送コーデック」を使用し、ハイビジョン映像4枚、4チャネルの映像を伝送して4Kの映像を非圧縮伝送することにも成功したという。

WINDSはこれまで、東日本大震災被災地域での通信支援を行う活動などを行っている。今後は、災害発生時に被災地域の状況や、負傷者のようすを4Kの高精細な映像で迅速に災害対策本部等に伝送する、遠隔地の専門医に医療情報を的確に伝える遠隔医療への活用といった用途を検討していくという。

2013年にWINDSは開発時の予定運用寿命5年を迎えており、現在は後期運用の段階にある。NICTでは、今後3年ほどの運用が可能との見通しがあり、伝送速度4.8Gbpsといったさらなる広帯域化の検討、航空機に地球局を搭載する実験,海洋ブロードバンド実験などに活用していく予定だという。

《秋山 文野》

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