自転車をコンパクト化し、移動する「輪行」。定着には先人の努力があった

鉄道 企業動向
前後輪を外して専用の袋に収納。露出する部分はなく、問題なく車内に持ち込める(撮影:永田まさお)
前後輪を外して専用の袋に収納。露出する部分はなく、問題なく車内に持ち込める(撮影:永田まさお) 全 2 枚 拡大写真

【澤田裕のさいくるくるりん】 今回は、これまで何度か触れてきた「輪行」そのものがテーマです。フレームを折りたたむ、あるいはホイールを外すことでコンパクトにした自転車を、専用の袋(バッグ)に入れて公共交通機関に持ち込み、移動するのが輪行。

自転車を活用するエリアが一気に拡大され、目的地までのアプローチに要する時間や労力を省くことができます。

鉄道からスタート、飛行機では有料/無料が分かれる

もともと鉄道から始まったこの制度も、今では船舶やバス、航空機にまで広がっています。ただし、会社によって対応がまちまちというのが悩ましいところ。航空機は無料と有料とに大きく分かれ、無料の会社でも重量やサイズ次第では有料となります。収容スペースが限られるバスでは、認めている会社はごくわずかというのが実情です。

最近では2013年4月にJR各社が、自転車の持ち込みについて改めて周知を図りました。駅構内の掲出物(画像はJR四国のもの)やJRグループのポスターには、専用の袋に入れたものであってもサドルやハンドルなど車体の一部が露出しているもの、緊急事態に対応するものとして紹介されることのあったビニール袋を貼り合わせたものなどは認められないと明記されています。他の乗客に危害を及ぼしたり、乗客や車内を油や泥で汚したりすることを防ぐためでしょう。私鉄各社もこれに準じています。

実際にとがめられる事例はまだ少ないようですが、特に前輪のみを外すタイプの場合、「縦・横・高さの合計が250cm以内」という規則に抵触するケースがほとんどですから、車内への持ち込みを断られても文句は言えません。

競輪選手のみ、JCA会員、署名運動などを経て1999年に無料化

輪行の歴史を振り返ると、競輪選手にのみ認められていたものが1970年に日本サイクリング協会(JCA)会員にまで拡大され、さらに各地のサイクリングクラブが署名運動に取り組んで国会に請願した結果、1984年には手回り品切符を買えば誰でも利用できるよう規制が緩和され、1999年に無料になったという経緯をたどっています。

それから15年。誰もが当たり前のように自転車を持ち込んでいますが、先人たちが払った努力を知るならば、それを踏みにじるような行為はおのずと控えるようになるはずです。前述したルールを守るのはもちろん、混雑する車両を避ける、乗降の邪魔にならないようする、倒れないよう固定するなど求められる配慮をしたうえで、輪行を活用したサイクリングを大いに楽しんでください。

《澤田裕@CycleStyle》

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