2014年5月19日、米衛星産業協会は世界の人工衛星産業に関する最新のレポートを発表した。2013年、人工衛星産業の収入は1952億ドルで、前年に比べて3パーセントの成長となったという。衛星放送や衛星通信サービス分野での伸びが成長を牽引している。
レポートは世界の衛星産業に関連する企業80社以上の調査を元に、衛星産業協会(The Satellite Industry Association:SIA)がまとめた。衛星産業を、通信放送衛星などの「衛星サービス」、人工衛星を開発・製造する「衛星製造」、衛星打ち上げロケットを製造・運用する「衛星打ち上げ産業」、衛星放送の受信設備や通信機器、位置情報端末などを製造・販売する「衛星地上機器」の4分野に分類し、分野別の傾向と成長を調査している。
「衛星サービス」分野では、。コンシューマー向けの衛星放送サービスが成長を続けていることによる2013年の収入は1186億ドルで、2012年から5パーセント成長となった。
「衛星製造」の分野では、2013年に打ち上げられた衛星は資産価値の高いものが多く、世界的に8パーセントと大きな成長を示したという。収入の総額は157億ドルで、うちアメリカの衛星製造メーカーは前年の82億ドルから109億ドルと33パーセントの成長となった。政府系衛星の価値が高くなっていることによる。
「衛星打ち上げ産業」では、過去最高だった2012年から比べると、ロケットの商業打ち上げサービスでの競争が激しく、収入は7パーセント減となった。アメリカのみ、商業打ち上げ数が増加して20億ドルから24億ドルへ収入は17パーセント伸びている。世界全体では、商業打ち上げ数は59回から62回と微増にとどまった。
「衛星地上設備」衛星TV放送向け設備、衛星ブロードバンド、衛星モバイル通信サービス端末、位置情報端末などが牽引し、2012年から1パーセントとゆるやかな成長は続いている。そう収入額は555億ドルとなった。
同レポートによれば、2013年末の時点で、50カ国以上の国が合計で1167機の人工衛星を運用している。その半数近くが通信放送衛星で、全体の40パーセントが商業通信放送衛星となっている。ほか、政府系通信衛星が13パーセント、地球観測などのリモートセンシング衛星が13パーセント、研究開発衛星が12パーセント、航法衛星が8パーセント、軍事偵察衛星が7パーセント、科学衛星が5パーセント、気象衛星が3パーセントを占める。