環境省、リニア新幹線の大臣意見を提出…「相当な環境負荷」懸念

鉄道 行政

環境省は6月5日、リニア中央新幹線東京都~名古屋市間(2027年開業予定)の環境影響評価について、同線の建設・営業主体であるJR東海が作成した環境影響評価書に対する「環境大臣意見」を国土交通大臣に提出した。

環境大臣意見の提出は環境影響評価法に基づく手続きの一環。同法は国土交通大臣などからの照会に対し、環境相が意見を述べることができると定めている。今回の環境大臣意見によると、中央新幹線は「事業規模の大きさから、本事業の工事及び供用時に生じる環境影響を、最大限、回避、低減するとしても、なお、相当な環境負荷が生じることは否めない」としている。

具体的には、全長約286kmの大部分を占める246kmがトンネルとなることから、トンネル工事の湧水により地下水位の低下や河川流量の減少・枯渇などが発生する可能性が高いと指摘。また、中央新幹線の開業時には約27万kWと試算される大量のエネルギーを必要とすることから「我が国が、あらゆる政策手段を講じて地球温暖化対策に取り組んでいる状況下、これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない」としている。

こうしたことから環境大臣意見は、山岳トンネル部の湧水対策として三次元水収支解析を用いた精度の高い予測を実施し、その結果に基づき水系の回避や適切な工法の採用、環境保全措置の実施など講じるよう求めている。トンネル工事により発生する土の扱いについては、施設規模の見直しを含め発生量と場外搬出量を抑えるよう求めた。

このほか、南アルプス国立公園が中央新幹線の事業実施区域に含まれることから、国立公園への影響をできるだけ回避すること、クマタカなど希少な猛禽類(もうきんるい)の繁殖活動への影響を回避・低減することを求めた。列車運行などで必要となる電力については、可能な限り再生可能エネルギーにするよう求めている。

今後は国交相からJR東海に対し、環境大臣意見を勘案した意見が出される予定。JR東海は意見の内容を検討し、必要に応じて見直した上で評価書を確定し、公告縦覧を行うことになる。

《レスポンス編集部》

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