【マーチ NISMO S 試乗】軽快に吹き上がるパワフルなエンジンとしゃきっとした足回り…松下宏

試乗記 国産車
日産マーチ
日産マーチ 全 17 枚 拡大写真

『マーチ』には2種類のNISMO仕様車が設定されている。今回試乗したのは専用にチューンされたエンジンとトランスミッション、サスペンションなどを備えた「NISMO S」。あのマーチがこれだけちゃんと走るようになるのか、そんな風に思わせるような仕上がりだった。

搭載エンジンは標準のマーチには搭載されていない1.5リットルのHR15DE型。専用チューンによって85kW/156N・mのパワー&トルクを発生する。ベース車に対して大幅な向上を見ると同時に、『ヴィッツRS』を上まわるが、『フィットRS』には及ばないといった動力性能である。

動力性能はフィットRSにやや及ばないが、車両重量はマーチが軽いので、実力的にはまあ互角と思っていいだろう。

走りの違いは走り出すとすぐに分かる。吹き上がりの軽快さとともに、回転の上昇に合わせてパワーが盛り上がっていく感じがびんびんに伝わってくるからだ。特に3000回転をこえたあたりからのパワー感というか、パンチ力は相当なものがある。

トランスミッションは専用の5速MT。最近ではスポーツモデルに6速MTを採用する例が多いので、5速では物足りない感じもあるが、標準車にはないMTが設定されていることを歓迎しておきたい。

足回りはしゃきっとした乗り味を感じさせる。サスペンションの取り付け部の剛性が高められたのを始め、スタビライザーが装着されたことなどによって、引き締まった感じの乗り心地を実現する。

標準車のマーチがふわふわで、何ともとらえどころのない足回りを採用するのに比べると、天と地くらいの違いがある。あのマーチがこれだけしっかりした走りになるのかと、驚かされるくらいに良くできた足回りだ。ブレーキもしっかりした踏みごたえがあって安心感のあるブレーキフィールを感じさせた。

このほか、NISMOのレース活動に裏付けられた空力特性を向上させるエアロパーツや、専用のゲットシートを始めとする内装の仕様など、NISMO Sならではの仕様がてんこ盛りだ。

マーチにはかつて「12SR」という傑作モデルがあった。その走りの良さは素晴らしいものがあり、今回のマーチNISMO Sも12SRには及ばないように思う。でもマーチを走りのモデルに変身させたNISMO Sには十分に意味がある。

マーチNISNO Sの価格は182万円強の設定。売れ筋モデルの価格帯が130万円台であることを考えると50万円くらい高いが、仕様の違いを考えたら割安といえるくらいの水準である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
  2. 【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
  3. トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開…北京モーターショー2024
  4. 見逃せない! ホイールのブレーキダスト除去術 ~Weeklyメンテナンス~
  5. Sズキが電動マッサージ器を「魔改造」、25mドラッグレースに挑戦!!
  6. ホンダ『ヴェゼル』マイナーチェンジで3グレードに集約、納期改善へ…「HuNT」「PLaY」新設定で個性強調
  7. 郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
  8. 多胡運輸が破産、首都高のローリー火災事故で損害賠償32億円
  9. ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
  10. <新連載>[低予算サウンドアップ術]“超基本機能”を駆使して「低音増強」を図る!
ランキングをもっと見る