法人税減税による設備投資効果は総額6兆2000億円…帝国データバンク調べ

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帝国データバンク、法人減税に対する企業の意識調査
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帝国データバンクは、法人税減税に対する企業の意識調査を実施した。

政府・与党は、法人税を減税する一方で、減税により減少する財源の確保について議論している。そこで、代替財源として議論の俎上にあがっている「外形標準課税の拡大」「租税特別措置の見直し」「税制優遇措置の段階的縮小」のそれぞれについて賛否を尋ねた。

全体として、「外形標準課税」は反対が4割、「租税特別措置」と「税制優遇措置」は賛成が4割という結果となった。租税特別措置や税制優遇措置の見直しに賛成している企業に限定すると、外形標準課税の拡大にも賛成する企業は4割近くに達しており、特に大企業でその傾向が強い。

しかし、小規模企業では、租税特別措置や税制優遇措置の見直しに賛成する一方で、外形標準課税の拡大に反対する企業は半数を超えている。財政基盤が弱く、わずかな負担増が業績に大きく影響する小規模企業ほど、赤字に関わりなく課税される外形標準課税の拡大に拒否反応を示している。

法人課税の実効税率が20%台まで引き下げられた場合、減税分の使い道として最も可能性が高い項目を聞いたところ、「内部留保」が20.5%で最も高かった。また「社員に還元」は17.3%、「人員の増強」が14.0%となり、人的投資に使うとする企業は合わせて31.2%。

さらに、「設備投資の増強」(14.9%)と「研究開発投資の拡大」(5.1%)を合わせると20.0%が資本投資に使用すると考えている。「人的投資」と「資本投資」を合計すると51.3%となり、減税分の使い道として半数超の企業が積極的な投資を想定していることが明らかとなった。

法人課税の実効税率が20%台まで引き下げられた場合の減税分の使い道として「設備投資の増強」と回答した企業1566社(不回答を除く)に対して、設備投資額をどの程度増やすと考えられるか尋ねたところ、「1000万円~5000万円未満」と回答した企業が34.0%で最多。次いで「1000 万円未満」(24.1%)、「1億円以上」(18.4%)、「5000万円~1億円未満」(14.7%)と続いた。ただ、規模別にみると、大企業は「1億円以上」と回答した企業が3社に1社を占めた一方、小規模企業では半数近い企業が「1000万円未満」だった。設備投資の増強を考えている企業では平均4353万円の設備投資が見込まれており、法人税減税による企業の設備投資は総額で6兆2000億円増加すると試算される。

法人税の減税が、日本経済の活性化に寄与すると思うか聞いたところ、「寄与する」と回答した企業は53.1%となり、半数超が経済への好影響を期待している。しかし、大企業と小規模企業では、「大企業」が「小規模企業」を4.7ポイント上回っており、「大手企業と中小企業の格差がさらに拡大する可能性があるため、中小企業に対してこそ法人税減税を適用し雇用の安定を図るべき」(飲食料品卸売、大阪府)といった見方を示す企業もある。法人税減税による日本経済の改善に向けた期待感には温度差がみられた。

《レスポンス編集部》

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