【テクノフロンティア14】ワイヤレス充電がEV需要を加速させるか…ダイヘンの提案[前編]

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平行2線方式による給電システムのデモ
平行2線方式による給電システムのデモ 全 5 枚 拡大写真
燃料電池車の発売がいよいよ現実的となってきた今、EVの立ち位置が微妙になってきた感がある。充電設備というインフラが整わないことで普及に足踏み感が生じている。そんな状況から脱却するための刺激策として期待したいのが充電設備設置への補助金による後押しと、ワイヤレス充電設備の実用化だ。

「テクノフロンティア2014」では、そんなワイヤレス充電装置に関する出展を数多く見かけた。

変圧器やプラズマ発生用電源のメーカーであるダイヘンのブースには、クルマ用のワイヤレス充電装置に関して3つの提案があった。1つは「平行2線式給電」で、これは送電コイルを長く伸ばして道路に埋め込むことにより、そのコイル上に置いた複数のクルマを同時に充電したり、走行中にも充電を可能にするシステム。昔のトロリーバスのような路線バスを効率良く運行することもできそうだし、パーソナルユースのEVでも高速道路に設置できれば、航続距離の問題もクリアできる。

これは奈良先端科学技術大学院大学と共同開発しており、ミニチュアでデモを見せてくれていたが、設置が従来の充電設備よりも大掛かりな分、実現にはやや時間がかかりそうだ。

2つ目は負荷インピーダンス測定器。ワイヤレス充電にとって課題とも言えるのが、そのシステム効率を高めることだ。そのためには送電コイルと受電コイルとで電流の受け渡しがキチンと行えているか、計測して検証する作業が欠かせない。それを行うのが負荷インピーダンス測定器である。ダイヘンは新製品であるViPhiアナライザを85kHzのワイヤレス給電システムに組み合わせてデモを行っていた。

「従来の測定器では、送電を一度停止しないと電流信号などを測定することができませんできたが、このViPhiアナライザは充電したままで測定を可能にしました」。これにより効率良く測定と分析が行えるそうだ。測定することによりコイル同士のシステム効率や、クルマの駐車位置などによりどの程度システム効率が低下するのか分かるとか。

3つめは高周波を使ったワイヤレス充電システムだ。通常、クルマ用などのワイヤレス充電には85kHzの周波数が使われている。ダイヘンではそれを13.56MHzにすることを提案している。

高周波にすることで送受電のコイルが百分の1に減らせるため、小型軽量にできるというのが第一のメリット。さらに駐車位置など送受電コイルの位置ズレに対してもインピーダンス整合を調整することで、システム効率を改善することができるというメリットがある。

実際に位置ズレに対して、どの程度の改善効果があるか、デモを見せてもらった。送受電コイルがピタリと合っている状態を100とすると、25cmズレていると52%へと低下、システム効率はほぼ半減してしまう。しかし電源システムの方でインピーダンス整合の調整を行うと66%と2割以上の改善を見せたのだ。従来の85kHzでもインピーダンス整合を調整するシステムを搭載することは可能だが、システムが大きくなり設置コストの点でも負担が大きくなってしまうそうだ。

ダイヘンがこのような高周波電源システムを提案できるのは、従来変換効率が低かった高周波と直流電流の変換を高い効率で行える電源システムを開発できたことにある。このあたりは変圧器や太陽光発電のパワコンで培ったインバーター技術、また半導体用のプラズマ発生システムに搭載されるインピーダンス整合の調整など、同社の強みが感じられる展示であった。

《高根英幸》

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