彗星を取り巻くガスの高解像度データ、アルマ望遠鏡使い取得

宇宙 科学
レモン彗星(左)とアイソン彗星(右)がアルマ望遠鏡で観測されたときの、彗星と太陽系の各天体の位置関係を模式的に示したもの(出典:国立天文台)
レモン彗星(左)とアイソン彗星(右)がアルマ望遠鏡で観測されたときの、彗星と太陽系の各天体の位置関係を模式的に示したもの(出典:国立天文台) 全 2 枚 拡大写真

アメリカ・カトリック大学の宇宙化学研究者でNASAゴダード宇宙飛行センターで研究するマーティン・コーディナー氏率いる国際研究チームは、アルマ望遠鏡を使って、2つの彗星を観測し、彗星を取り巻く薄いガス(コマ)の史上最高解像度のデータを取得した。

研究チームは、このデータをもとにコマの中でのさまざまな分子の「3次元」分布を明らかにした。彗星の性質を理解するには、分子の分布の観測が重要だが、今回アルマ望遠鏡による観測で初めてその観測を実現した。

今回アルマ望遠鏡による観測対象となったのは、レモン彗星とアイソン彗星。アルマ望遠鏡は2つの彗星に対して、シアン化水素(HCN)、シアン化水素の原子の結合順が組み変わった分子HNC、ホルムアルデヒド(CH2O)が放つ電波を観測した。

アルマ望遠鏡の観測により、シアン化水素は彗星の核からほぼ均等に全方向に噴き出していることが明らかになった。HNC分子は、コマの中に均等に分布するのではなく、いくつかのかたまりになって存在することが分かった。

アルマ望遠鏡の高い解像度により、このHNC分子のかたまりが日に日に、あるいは1日のあいだでもコマの内部で移動していく様子が捉えられた。これは、HNC分子がコマの中で形成されていることを示している。

このことは、有機物質が集まった塵が壊れることによってHNC分子が作られるという説を裏付ける新たな証拠となる。

今回の観測結果は、天文学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」に掲載される。

《レスポンス編集部》

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