鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は9月2日、大地震に対する耐震性を高めるとともに、津波が盛土を越えて流れる現象が発生しても破壊されにくい鉄道盛土構造を開発したと発表した。
2011年3月の東日本大震災では、鉄道の盛土が津波により流出・侵食し、長期に渡って運休する原因となった。その一方、巨大な津波が防潮堤を越えてきた場合、鉄道や道路などの盛土構造が「2番堤」となり、地域の被害を低減する役割も期待されている。
こうしたことから鉄道総研は、現地調査や波浪模型実験などによって、盛土構造物が津波によって破壊されるメカニズムを検討。耐震性に加えて長時間の津波越流にも耐える補強土構造物の「新構造」を開発した。
「新構造」は、鉄道総研が開発したRRR工法を改良したもの。土木用の安定繊維材(ジオテキスタイル)によって盛土本体に高い耐震性を持たせると同時に、盛土底面にセメント改良した礫土層を配置する。このセメント改良礫土層によって盛土本体の剛性が大きく向上するため、長時間の津波越流によって盛土周辺の支持地盤が侵食されても、盛土本体が不安定化して変形・破壊するのを防止する。
鉄道総研は、地震動を加えた後に長時間の津波越流を再現できる実験装置を使用し、耐性を検証。その結果、「新構造」は長時間の津波越流で支持地盤が侵食されても、盛土本体が崩壊しにくいことが実証されたという。