トレジャーデータとパイオニア、両社のシナジーは何をもたらすか

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コンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス「CEDEC 2014」 トレジャーデータ 展示ブース
コンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス「CEDEC 2014」 トレジャーデータ 展示ブース 全 2 枚 拡大写真

9月4日、トレジャーデータとパイオニアは、共同で自動車関連業者向けソリューションを開発することを発表した。

トレジャーデータは2011年に米国にて創業された、クラウド型データマネジメントサービスを提供する企業。トヨタIT開発センター米国法人(TOYOTA Info Technology Center, U.S.A., Inc.)への導入実績をはじめ、自動車業界でも日米欧の大手企業への導入が進んでいる。

両者はどのような強みを融合させようとしているのか。サービス紹介資料およびトレジャーデータ マーケティングディレクター堀内健后氏へのインタビューからレポートする。

パイオニアとの業務提携によるシナジーで目指すもの

2006年にプローブ情報(自動車の走行履歴や各種のセンサーデータなど)を活用したネットワークシステム「スマートループ」を立ち上げるなどデータ活用を進めてきたパイオニア。

13年には自動車向けクラウド基盤「モバイルテレマティクスセンター」を構築し、スマートフォン向けにもクラウド型ナビゲーションを開始した他、車載機のみならず、スマートフォンから得られるデータの解析処理によるプローブ渋滞情報の提供を開始している。

一方トレジャーデータは大容量の各種データをリアルタイムで収集・保管・分析するクラウド型データマネジメントサービス「トレジャーデータサービス」を提供してきた。

同サービスを構成する技術要素は、データの収集機能では「Treasure Agent」と「Bulk Importer」。「Treasure Agent」はオープンソースのログ収集基盤である「fluentd」(フル-エントディー:ログを収集し格納するためのログ収集基盤ソフトウェア)を企業システム環境向けに品質の安定化を行い、実行環境などと共にパッケージしたもの。サーバーから随時ログデータを集めて「トレジャーデータサービス」に送信する。また「Bulk Importer」はオンプレミス環境にある既存の大規模なデータをクラウド上にインポートする機能だ。

またデータの保管面では自社開発の列指向型データサービス「Plazma」にHadoopの分散処理機能を融合している。ノースキーマであるため時系列データであれば、データの構造に依存せず、そのまま保管可能なのだという。

他社などと比較した場合のサービスの利点について、堀内氏は「データを集める段階での費用をのぞけば、サービス利用にあたっての初期費用が不要で、月額のみでの運用ができる、また短期間でのデータマネジメントにも対応できる点」と話す。

現在サービス利用顧客は150社ほどあり、「GREEなどのゲーム関連企業、アドテックなどにかかわる広告系企業、またクックパッドに代表されるようなwebサービス系の企業さまがこれまで中心的でしたが、今回のパイオニアとの提携にみられるような、製造業との関わりのあるところ、IoT分野にも今後注力していきたい。」(堀内氏)との展望を語る。

同社は今年6月に行われた記者発表でも今後の二大戦略として「IoT分野への注力」を掲げており、IoT分野(テレマティクス、ウェアラブル、M2M)でセンサーデータを用いて製品利用状況解析や機能向上、さらには新製品開発に活用が可能だとする。

提携範囲は運転情報把握エンジン、業者・車載用機器・スマートフォンが対象に

今回の業務提携範囲は自動車関連業者向けソリューション。

運転状況把握エンジン(車両状態、位置情報、交通情報、運転傾向など)による情報検知に基づくデータ分析、情報の収集・蓄積をもとに、自動車関連業者に対し、ビッグデータの可視化や状況に合わせたオートマティックな情報提供をおこなうという。また様々な車載用機器・スマートフォンに対しては、自動車の状態に合わせたメンテナンス案内やアフターサービス提供などをおこなう。

《北原 梨津子》

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