【GARMIN ForeAthlete 15J インプレ後編】継続的な有酸素運動をサポート…ダイエット専用ウォッチの決定版

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ラン/ウォークでは設定した時間のカウントダウンが行われ、ゼロになったらビープ音がなる。それに合わせてランとウォークを交互に行う
ラン/ウォークでは設定した時間のカウントダウンが行われ、ゼロになったらビープ音がなる。それに合わせてランとウォークを交互に行う 全 19 枚 拡大写真

ひとつのボディにライフログとランニングウォッチの機能を搭載したGARMINの『ForeAthlete 15J』。前編では、主要な機能と特徴について紹介したが、後編では実際に使用した印象をレポートしよう。

まずライフログ機能から。本機の設定でライフログ機能を有効にしておき、あとは本機を時計モードにすればライフログリストバンドとして機能する。ディスプレイには現在時刻が大きく表示されるが、その下にライフログのデータが表示されるようになっている。

そのデータは左下のボタンを押すごとに切り替わり、日付、ステップ数、ゴール、歩いた距離、消費カロリーが順に表示される。ステップ数にはバーグラフも同時に表示され、ゴールに対してどのくらい達成したかが一目でわかるようになっている。

ゴールは例えば毎日1万ステップというように自分で設定できるが、初期設定では自動ゴール機能が有効になっている。文字通りゴールを自動設定する機能で、実際に記録したステップ数から、それよりやや多めがゴールとなるようだ。しかも、自動設定されるゴールは毎日変わっていく。歩いた距離はステップ数と歩幅を単純に掛け算したものだが、GARMINコネクトを介して、自分の正確な歩幅を設定することができるため、かなり正確な距離となっている。

さて、実際に使用してまず気になったのは装着感だ。本機はランニングウォッチとしては最も小型の部類だが、一般的な腕時計よりは厚みが大きい。また、GARMINにはライフログリストバンドとしてvivofitがあり、その軽い装着感と比べてしまうと、やはり本機はちょっと気になる。もっとも、筆者は普段、腕時計を使わないので余計に気になったのであって、一般的には許容範囲といえる装着感だろう。

もうひとつ気になった、というか心配していたのがバッテリーの寿命だが、これは全くいらぬ心配だった。本機は時計モードで約5週間のバッテリー寿命があるが、ライフログ機能を有効にしても、その寿命が極端に短くなることはないようだ。2週間ほど使ってもバッテリーの表示が全く変わらない。

ところで、事前にバッテリー寿命が心配になったのは、本機に付属の説明書に、ライフログ機能を使用した時の電池寿命が記載されていないからだ。それどころか、この説明書にはライフログ機能についての説明が、全くといっていいほど記載されていない。これは一体どうしたことなのか。筆者はGARMINのライフログバンド『Vivofit』を使ったことがあるので使用方法で困ることはあまりなかったが、こういった機器を初めて購入する人なら、何をどうすればいいか全くわからないのではないだろうか。詳細な記述の分厚い説明書はGARMIN製品の美点の一つであるだけに、残念というほかない。

機能としては、特に不満はなく、どうもVivofitには搭載されている睡眠モードがないのが少し残念な程度。睡眠モードとは、睡眠時の動きを記録してGARMINコネクトでグラフ表示する機能で、面白みはあるがデータの意味をどう考えればいいのか不明なのと、寝る時と起きた時に手動でモード切り替えをしなければならないので、省略されても非常に残念というほどではない。

ただ、演出という面では大きな不満を感じた。これもVivofitと比較しての話なのだが、vivofitは非常に鮮やかなディスプレイを搭載しており、運動を促す赤いバー表示も非常にかっこいい。それに対して本機の液晶は旧態然としたモノクロで、運動を促す表示も「MOVE」と文字で表示されるだけだ。ライフログの専用機と比べては酷かもしれないが、しかしこのハードウエアのままでも工夫次第でもう少し気の利いた演出ができるのではないかと思われる。

少しネガティブな評価が続いたが、もちろん、ライフログとして必要十分なものであることは間違いなく、ステップ数の表示を見て、ゴールが達成できないようだと、疲れていても歩きたくなる。数フロア分の移動ならエレベーターを階段に変えさせるくらいのモチベーションはすぐに持たせてくれるといっていいだろう。

◆ランニングウォッチとしては手慣れた作りと安心の使い心地

ランニングウォッチとしても何度か使用してみた。これはもう安心・安定の使い心地という評価が一番ピッタリだろう。GARMINは数多くのランニングウォッチを発売してきたが、それぞれに特徴はあっても基本的な機能や使い方は共通しており、しかもそれが着実に進歩してきている。エントリーモデルである本機でもそれは同じで、基本機能に手抜きはない。本格的なトレーニングが必要なアスリートには向かないだろうが、一般的な市民ランナーには十分な機能だ。

ランニング自体が初心者という方に本機を使ったトレーニングの一例を紹介しよう。ランニングを始めたばかりだと走るペースが判らず、ほとんどの場合は速く走りすぎてしまう。そこで、本機のペース表示やバーチャル・ペーサーを使ってペースを守って走るトレーニングをするといい。特にダイエット目的の場合、有酸素運動をしなければならないが、ペースが上がり過ぎると無酸素運動になってしまい、非常に苦しいのに脂肪はそれほど燃えないというメリットのない状態になってしまう。ペースを守るのは非常に大切なのだ。

バーチャル・ペーサーは、設定したペースで走る仮想のランナーと一緒に走る機能で、一定のペースで走りたいときには非常に便利な機能だ。便利というより、励みになる機能といったほうが正しいかもしれない。理屈としては、ペース表示があればそれでペースを守ることはできるのだが、人間は機械ではない。仮想とはいえ伴走者がいることで自分のペースが早過ぎるのか遅すぎるのか直感的にわかるし、辛くても我慢して走ろうという気になるのだ。

ダイエットが目的ならもうひとつおすすめしたい機能がラン/ウォークだ。これは一定時間ごとにランニングとウォーキングを繰り返すトレーニングをするための機能で、時間が来るたびにビープ音とディスプレイ表示で知らせてくれる。

ランニングというと走り出したらゴールまで止まってはいけないように思いがちだが、ランニングの初心者がこの考えでトレーニングをすると、非常に苦しい思いをする割に消費カロリーは驚くほど少ない。長時間にわたって走り続けることができないため、短時間の運動で終わってしまうからだ。効果的なダイエットをするには、むしろときどき歩きながらランニングをした方が効果的。そのほうが長時間にわたって運動を持続でき、より多くのカロリーを消費できる。

このように、本機はペース表示などの基本機能のほかに、初心者やダイエット目的の人に最適な機能を幾つか搭載している。予算に余裕があれば、本機にハートレートセンサーを追加すれば、初心者、ダイエット目的の人にとって理想的なランニングウォッチとなるだろう。ハートレートセンサーがあれば、自分にとって有酸素運動の範囲で走るにはどのくらいのペースで走ればいいかが、分かるようになるからだ。

◆GARMINコネクトで運動の記録をチェック

本機を始め、GARMINのフィットネス製品のデータを転送、保存できるGARMINコネクトは、いまやGARMIN製品を語るうえで欠かせないものだ。このサービスがスタートした当初は単純なサービスだったが、何度かのリニューアルを経て、今では非常に多機能で用途も広いサービスへと成長した。

本機の場合、パソコンに接続したデータクリップに本機を取り付けると、」ライフログのPデータ、ライニングウォッチのデータが一括してアップロードされる。それぞれのデータはグラフ化されてわかりやすく表示され、パソコンの買い換えや故障などでデータが消える心配もない。

また、現バージョンのGARMINコネクトはGARMIN製品の設定を行う機能が充実しており、本機にしても、設定のほとんどすべてをパソコン上で行い、本機に転送することができる。バーチャル・ペーサーの設定などは本機の小さなディスプレイでは操作がややわかりにくいが、パソコン上なら快適だ。さらに、GARMIN製品のソフトウエアがアップデートされた場合もGARMINコネクトを通じて簡単にそのアップデートを適用することができる。

以前のGARMINコネクトはSNSのような機能を持っていた。個人情報の問題からか、最近はSNSとしての機能はややトーンダウンしている。しかし、新しいアイディアも登場しており、たとえば「チャレンジ」では1回クリックするだけで、他のユーザーと毎日のステップ数を競い合うことができる。個人での運動ではモチベーションをいかに維持していくかが非常に重要なので、こういった競いあう機能はじつに有効だ。

《山田正昭》

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