【スーパーフォーミュラ 第6戦】波乱の一戦を制して、新人・野尻智紀が初優勝

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
SF初優勝を飾った野尻智紀。左は村岡潔監督。
SF初優勝を飾った野尻智紀。左は村岡潔監督。 全 8 枚 拡大写真

28日、全日本選手権スーパーフォーミュラ(SF)第6戦の決勝レースが宮城県のスポーツランドSUGOで開催され、今季の新人で2番グリッドスタートだった野尻智紀が初優勝を飾った。ホンダエンジン搭載車の優勝は今季初。

前日よりも温度上昇傾向となった決勝日のSUGO。スタート約30分前で気温23度、路温37度ながらも、日差しが強いために温度以上の暑さにも感じられるなかで、午後3時過ぎに決勝レース(68周、約250km)の火蓋が切って落とされた。

スタート直後、いきなりの波乱が待っていた。2コーナーで中団以降のグループに多重クラッシュが発生し、ここまでドライバーズチャンピオン争いの1位と2位だったジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(#19 Lenovo TEAM IMPUL/トヨタ)とアンドレ・ロッテラー(#36 PETRONAS TEAM TOM’S/トヨタ)がともに戦列を去る事態となってしまったのだ。オリベイラは今回予選11位、ロッテラーは予選3位ながらもスタートの出足が良くなく、中団に落ちていたが、まさかのオープニングアクシデントで両雄0周リタイアの大波乱。レースはセーフティカー(SC)導入となる。

この2コーナーのアクシデントでは、もうひとりの注目選手も戦線離脱を余儀なくされた。新チームからの今季初参戦だった伊沢拓也(#34 DRAGO CORSE/ホンダ)である。予選18位、エンジン交換ペナルティで19番グリッドに下がってスタートした伊沢だが、彼も残念なかたちで早々にレースを終えることとなってしまった(エンジン交換ペナルティ車両が複数あり、伊沢は最後尾20番グリッドスタートではなかった)。

いきなりのSC導入、さらには上位が17周目を走っている段階で2度目のSC導入があり、ここで多くの車両がレース中1回は必要と思われた給油のためのピットインをするなど、レース前半は出入りの激しい展開となったSUGO戦。2度目のSC先導走行の時点までに給油をしていなかった国本雄資(#39 P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)と中山雄一(#18 KCMG/トヨタ)が1~2位となり、終盤には「彼らはこのままピットインしないのか」という観客目線での焦点も生まれるなど、SFらしい戦略攻防の妙も交えたレース推移となっていく。

しかし国本らは結局、終盤にピットインせざるを得なくなり、最終的な順位では大きく後退(国本9位、中山13位)。勝ったのは、スタートで首位に立ち、その後も結果的には実質の先頭を譲らなかった格好の野尻(#40 DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)だった。

「すごく嬉しいんですけど、いきなりすぎてよくわかってないというか、まだ実感が湧かないです」と語った野尻は、全日本F3選手権から昇格してきた今季新人(25歳になったばかり)。一昨年にチーム部門タイトルを獲得するなどした実績を誇る強豪チームのサポートを受けつつ、シリーズ前半戦は苦境にあったホンダ勢のなかでは常に予選で1、2を争う健闘を見せており、ホンダの復調とともに第4~6戦は予選2、5、2位と上位グリッドを立て続けに獲得していた。しかし強豪揃いのSFにおいて、レースをまとめることがなかなかできず、今回が初表彰台どころか初入賞(8位以内)。「いきなりすぎて」というのもわかる話である。「やっと、自分の仕事ができたと思います」というコメントも然りだ。

「スタートも決まって、タイヤのセーブも考えつつ走っていましたが、そのなかでクルマの状態はいいという手応えをつかむことができました。チームの作戦(給油時のタイヤ交換は左リヤ1本のみ)もベストなものでしたし、1年目で優勝できたことは自分にとってはもちろん、(今季初優勝の)チームにとっても、そしてここまで(巻き返しに向けて)努力してきたホンダにとっても、良かったと思います」と語る野尻に、チームを率いる村岡潔監督は「ここから、が楽しみです。手強い先輩選手たちに(本当の意味で)揉まれていくことになると思いますから」との旨を語り、祝福と激励を与えていた。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの優勝は、昨年開幕戦で当時在籍の伊沢が勝って以来。

決勝2位は中嶋一貴(#37 PETRONAS TEAM TOM’S/トヨタ)。これで一貴はチャンピオン争いのトップに浮上し、決勝3位のロイック・デュバル(#8 KYGNUS SUNOCO Team LeMans/トヨタ)、同4位のジェームス・ロシター(#3 KONDO RACING/トヨタ)、同6位の石浦宏明(#38 P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)、そして9位だった国本と今回無得点のオリベイラ、ロッテラーを含めた計7人にドライバーズチャンピオン獲得の可能性が残り、最終戦へと向かう形勢になった。

今回の決勝5位は中嶋大祐(#31 NAKAJIMA RACING/ホンダ)。ポール発進の山本尚貴(#1 TEAM 無限/ホンダ)は7位で、平川亮(#7 KYGNUS SUNOCO Team LeMans/トヨタ)が8位、20番グリッド発進だった小暮卓史(#32 NAKAJIMA RACING/ホンダ)が10位に入っている。

今季のSFも残すは最終戦のみ。ドライバーズタイトルの行方が決まる最後の戦いは、11月8~9日、三重県の鈴鹿サーキットで開催される(決勝2レース制)。

《遠藤俊幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ RAV4 新型の価格は390万~630万円と予想…電動グレード体系に再編
  2. ホンダ N-BOX など7車種1万2653台リコール…過去の改善措置が不適切
  3. スズキ『ジムニー』、フランス最終モデルは55台限り…6月末に発売へ
  4. メルセデスの名車「190E エボ2」が復刻! 限定100台の「HWA EVO」にハンコック純正装着
  5. メルセデスベンツの万能車『ウニモグ』がキャンピングカーに! 数日間の自給自足が可能
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
  5. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
ランキングをもっと見る