マツダは幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催中のCEATEC JAPAN2014で、米国カリフォルニア州にあるサーキット「ラグナ・セカ」で今年7月、自動走行実験に成功した『アクセラ』を初出展した。会場では実験でデモ走行した際のビデオ映像も合わせて公開している。
走行実験ではGPS技術を基本としたマップマッチングを用いて行われ、サーキット内に設置された基地局から補正用信号を受信することで1周約3.6kmのサーキットを無事に走り切ることができたことの報告を兼ねて出展された。このサーキットは高低差が15mほどある難コースとして知られ、それにもかかわらず「レース並みの速度で維持できており、GPS技術を使っても高精度な車両制御ができることを証明できた」と同社商品戦略本部技術企画部環境安全企画グループ・マネージャーの伊東哲夫氏は語る。
これまで自動走行システムにおいては、カメラやレーザーなどの様々なセンシング技術が用いられてきたが、伊東氏は「マツダも自動走行へトライしているということを世に示したかった」と今回出展の意義を述べた。「完全(な自動走行)は狙っていない。狙っているのはあくまで運転はドライバーが主体であって、システムはアシストに過ぎない。その中で可能な限り自律対応できる自動走行を目指したい」とする。
同時に伊東氏は、自動走行システムを開発する上での難しさにも触れ、「今後はマツダ独自の技術として積み上げていくが、一方で必要に応じてサプライヤーからの技術協力も欠かせない」とも述べた。日本の自動車メーカーが自動走行システムを公開するのは、トヨタ、日産、ホンダに続いて4社目。取材中、伊東氏は「マツダコネクトが自動走行に貢献するようなことができたら面白いかも」とマツダの自動走行システムに対する“夢”も語ってくれた。
走行実験に使われたアクセラは一見すると、アメリカで販売されている「MAZDA3」そのもので、車内にはマツダコネクトの姿も見える。ただ、細部を見ていくと、ルーフ後端にはGPS補正用信号を受信するFMアンテナが装着され、車内には緊急停止に使うエマージェンシーボタンも確認できた。マツダならではの自動走行システムがどう展開されるかが楽しみである。