ZF傘下ザックスの二輪車用セミアクティブサス…欧州3メーカーに採用される多様性

モーターサイクル 企業動向
ザックス セミアクティブサス開発車両
ザックス セミアクティブサス開発車両 全 14 枚 拡大写真

セミアクティブサスペンションは、走行中に変化する条件に合わせて、減衰力を随時最適化させていくシステムである。バネ特性も含めて変化させる(フル)アクティブサスではないので、セミ・アクティブと呼ばれる。

独自動車部品サプライヤー大手のZF傘下、ザックスのCDC(コンティニュアス・ダンピング・コントロール=減衰力連続可変制御)は、まさにこのセミアクティブサスであり、すでに数車種のバイクに採用されている。

作動原理は、バネ上とバネ下に設けた加速度センサー、もしくはストロークセンサーから前後サスの動きを検知、これに加え、車輌の加速度や速度、ブレーキ液圧などから最適の減衰力を算出し、減衰力を1000分の1秒単位で制御するというものだ。

CDCダンパーのバルブ部には、プロポーショナルバルブ(比例制御バルブ)という電磁バルブが設けられ、電子制御で送り込まれる電流によって、オイル流路が逐次、変化。これにより伸び圧減衰力は、減衰力速度特性図において、平行移動するように変化していくことになる。

すでに、欧州の3メーカーが採用しているが、その呼称やコンセプト、センシング技術は、それぞれ微妙に差異を見せる。

BMWはDDC(ダイナミック・ダンピング・コントロール)と呼び、前後にストロークセンサーを備え、車輌のトラクションコントロールやABSと連携し、減衰力が制御される。『HP4』や『S1000R』のテレスコピック式フォークは、ストロークセンサーの装着が困難(市販車では破損の恐れがある)なため、これを持たず(HP4はオプションで用意される)、車輌の加減速度やブレーキ圧で制御される。

ドゥカティは、ストロークセンサーに代わり、前後サスのバネ上とバネ下に加速度センサーを設ける。こうしたセンシングにより、バネ上が空に吊らされているかのように安定しているというスカイフック理論を実現しており、DSS(ドゥカティ・スカイフック・サスペンション)と名付けられる。

また、アプリリアは、フロントフォークに圧力センサーを設け、ストロークをセンシング。電子式プリロード調整機能を発展させた自動車高調整機能が加わっており、ライダーの体重や積荷の有無によっても、初期の車高を一定に保てるようになっていて、ADD(アプリリア・ダイナミック・ダンピング)と名付けられている。

更なる発展を予感させるCDCなのである。

《和歌山 利宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 「赤色くるー!!」2026年モデルのカワサキ『エリミネーター』に熱視線!新カラー&グラフィック追加へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る