意外と知らない?輸入されたクルマが納車されるまで…メルセデス豊橋新車整備センターで見学が可能に

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メルセデス・ベンツ日本 豊橋新車整備センター
メルセデス・ベンツ日本 豊橋新車整備センター 全 33 枚 拡大写真

メルセデス・ベンツ日本は10月20日、今年8月に操業を開始した豊橋新車整備センター(VPC)を報道関係者に公開した。

同社は2009年まで、日立VPC(茨城県日立市)と豊橋VPC(愛知県豊橋市)の2拠点体制で新車整備を行っていたが、リーマンショック後の2010年には日立1拠点に集約していた。

しかし2010年以降は、販売実績が4年連続で対前年を上回り、昨年は過去最高の5万5000台以上を記録するなど好調に推移していることや、ラインナップの多様化が進んでいることから、新車整備能力の向上が必要と判断。豊橋VPCを元の場所に新設し、既存の日立VPCと合わせて再び2拠点体制とすることになった、というのがこれまでの経緯だ。なお、豊橋VPCの新車整備は、港湾運送会社で輸入車整備や物流分野で大手の上組(本社:神戸市)に業務委託されている。

そして今回、新装なった豊橋VPCの内部が、報道陣に公開された。その様子を新車整備の流れを追って紹介してみよう。

まず、ドイツやオーストリアなどの生産工場から40日以上かけて船便で三河港に到着した車両は、通関した後、VPC施設内のテストコースで走行時の車両状態、ドアの施解錠を含む各機能、異音の有無などがチェックされる。

その次は洗車工程。ここで輸送中の汚れを落とすわけだが、その前に特殊な溶剤がボディに塗布される。これは生産工場から積み出し港まで、鉄道などで輸送される際に付着した鉄粉を除去するためのもの。鉄粉が付いたまま自動洗車機に入れてしまうと、微細なキズの原因になってしまうからだ。

洗車後は、外装、内装、各機能等の検査が入念に行われる。特に日本市場は世界的にも飛び抜けて高い外装品質が求められるため、検査ラインに並ぶ車両のボディには、ところどころに要補修を意味するピンクの付箋が貼られていく。これらの要補修ポイントは素人目にはまったく分からない微細なもので、今回施設の案内を行った豊生浩一VPCセンター長によれば「日本以外では全く問題にならないレベル」だが、マークされた部分はすべて端末に記録され、補修されるまで車両が次の工程に進まないように管理される。

また、この工程では日本語コーションラベルの貼付など日本仕様への対応や、地下ピットからの車両下まわりの点検も行われる。そして仕上げは熟練作業員によるボディの磨き作業。これは非常に高い技術が必要な職人技とのことだ。

なお、VPCの建屋内は、多くの自動車工場と同じように広大だが、一般的な工場とは異なり、作業機器や電動ツールの音はほとんどしない。また、操業開始から間もないせいか床にはタイヤ痕すら見かけなかった。まるで精密機器を生産するクリーンルームのように静かで清潔だ。また、外観検査や磨き工程で、若い女性の姿が見られたのも印象的だった。

さて、品質面の検査が終了した後は、法定の「完成検査」が実施される。ここで車両が日本の法規通りかどうかチェックされ、合格した車両に新車登録に必要な完成検査証が発行されるわけだ。

そして最後に車両への保護フィルムの貼付が行われ、全工程が終了。後は各ディーラーに向けてトレーラーで輸送されるという流れだ。日立VPCと同じく、豊橋VPCもメルセデス・ベンツとスマートの全モデルを取り扱うが、この日、出荷を待っている検査済み車両の大半は、新型Cクラスや新型GLAクラスだった。目下の売れ筋が、ひと目で分かる眺めだ。

なお、豊橋VPCではインポーター初の施設として、新車を購入した顧客が、整備完了直後の車両を直接受け取ることができる「デリバリーコーナー」を10月20日にオープンしており、対象地域のオーナーであればここで納車することも出来る。さらに11月からは、オーナー以外の一般を対象にした見学ツアー(予約制)も行われる予定だ。

《丹羽圭@DAYS》

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