【日産 スカイライン 試乗】200GT-t と ベンツC200、同エンジンでも感じる「日産の意地」…青山尚暉

試乗記 国産車
日産 スカイライン 200GT-t
日産 スカイライン 200GT-t 全 8 枚 拡大写真

パワー指向のHVモデルでスタートした新型『スカイライン』に、なんとメルセデスベンツ『Cクラス』と同じパワートレーン(エンジン、ミッション)を積むガソリンターボの「200GT-t」が加わった。

そのネーミング、スカイラインファンなら「懐かしい」と感じるはずだが、中身は次世代ターボを積む先進のスカイラインでもある。

HV同様、全方向ぬかりなしの安全システムを装備している(タイプP以上)のはもちろん、高級サルーンと呼ぶのにふさわしいエクステリアの風格、そして掛け値なしに「高級」を感じさせるデザインに凝ったインテリアも新型スカイラインの大きな個性、特徴だ。

さて、現時点ではダイレクトアダプティブステアリングではなく、電動油圧式のパワステを備える200GT-tの走りは、ズバリ、過激すぎる!? HVモデルよりずっと自然で、往年のスカイラインファンにも受け入れられやすい仕様と言える。

メルセデスベンツC200と同じ2リットルターボエンジンは211ps、35.7kgm、JC08モード燃費最高13.6km/リットルというスペック。ちなみにC200アバンギャルドは184ps、30.6kgm、16.5km/リットルと、パワー控えめ、燃費で優位に立つ(両車ともにハイオク仕様)。ミッションはどちらも7AT(メルセデス製)だ。

スカイラインは燃費より加速性能に振ったハイチューンぶりに驚かされるが、車重はスカイライン200GT-t TypeSが1670kg、C200アバンギャルドは1540kg~と軽量だから単純には比較できない。

スカイラインのHVモデルをドライブさせて、鳴り物入りの将来の自動運転を見据えたダイレクトアダプティブステアリングに違和感を覚えるシーンはないわけではないが、このガソリン車の油圧電動パワステは実に素直かつ自然。ドライブモードセレクターをスタンダードにセットしても、これが標準? と思えるほどズシリと重いのは、スポーツセダンとしての主張だろう。

パワステの重さはパーソナルアシスタント機能で軽くすることは可能だが、そうすると今度はスカイラインらしくない、フツーのサルーン化してしまうから、ここはスタンダードモードにこちらが腕の筋肉を鍛えて合わせるべきか。

注目のエンジンは下からトルクの厚み感があり、スムーズでさすがに速い。ただし、Cクラスで感じられる、しっとりとしたウェッティーな回転フィールに対して、こちらは日産らしいエクストラドライなテイストだ。どちらがいいかは好みだが、日産のスポーティーなエンジンを好む人ならスカイラインのチューンがどんぴしゃ、かもしれない。

それにしても、同じパワートレーンでも、ここまで方向性、味付けが違うのには驚かされる。そこには日産の意地もあるのだろう。

価格は先進安全装備てんこ盛りのタイプP比較でHVの500万2560円に対して421万2000円と、約79万円も安いことになる。ちなみに全長で10cm、車幅とホイールベースが1cm短い、もはやEクラス並みの存在感をたたえるC200アバンギャルドは524万円だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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