【MINI ワン 試乗】遅れてきたベーシックモデル、その正体は痛快ホットハッチ…中村孝仁

試乗記 輸入車
MINI ワン
MINI ワン 全 9 枚 拡大写真

昨年暮れに発表された新しいMINI。しかしそこにべーシックモデルであるはずの『ワン』の姿はなく、『クーパー』と『クーパーS』だけのラインナップだった。ワンはおよそ8か月ほど遅れてデビューを果たしたが、ようやく今回試乗がかなった。

ワンのエンジンはクーパー用の3気筒ターボユニットのデチューン版だと思っていたら、実はかなり違う。例えば排気量は1.2リットルのワンに対して1.5リットルのクーパー。ボア×ストロークを見てもワンの78×86mmに対し、クーパーは82×94.6mmと一致するところは何一つないのである。とはいえ、直噴、ツインパワーターボという点では共通しているから、基本的には同じエンジンファミリーなのだろうが、単純にボア/ストローク比だけを見れば、ワンのエンジンの方が性能はともかく、よりスポーティーな仕様となっている。

性能的には102psに180Nmで、最大トルクの発生回転数も1400~3900rpmと、クーパーと比べてその発生範囲も狭ければ、下の回転数も高いから、飛ばして楽しむには回転を上げてやる必要があるのだが、それがこのワンの走らせて「楽しい」に繋がっている。

つまり、ホットハッチ的な要素をこのワンが持っているということだ。だから、これで十分だから、MINI ワンをチョイスするのではなく、少ないパワーをいかに有効に使うかという走りの楽しみ方を知っている、ある意味、通のユーザーがこのワンをチョイスするのではないかとさえ思えた。非力なクルマをガンガン飛ばして走ると実に楽しいのだが、その楽しさがわかる人ならワンの楽しさが分かってもらえると思う。

勿論タイヤサイズがクーパーと同じなので、ドラマ性はない。正直言えばあえて細いタイヤに履き替えてしまいたくなる。因みに標準装備のタイヤは175/65R15。ワンのみホイールはスチールで、バネ下荷重を考えるとこれはアルミに履き替えたい。今回の試乗車はATモデルだったが、こいつはMTの方が愉しいと思う。

新型MINIとなって、新たに装備されたのが、アイドリングストップ機構と走行モードの切り替えである。走行モードはスポーツ、ノーマル、グリーンの3種からチョイスできる。グリーンはBMWで言えばエコプロモード。これとアイドリングストップが組み合わさって初めて省エネ運転を可能にするから、他のクルマの話になって恐縮だが、つい先ごろMINIにデビューしたディーゼルモデルはこれらがついてから出してほしかったと思うわけである。そうすれば評価も大いに変わってきたと思う。

というわけで、楽しむばかりでなく、これらのモードを駆使すれば、省エネ運転が可能。JC08の燃費だって、ATモデルでは19.2km/リットルである。MTなら20km/リットルを超えるから、財布にも優しい。ただし、ハイオクを要求するが…。

というわけで、単なるベーシック・ミニだとばかり思っていたワンはかなり痛快なホットハッチとしても楽しめることが分かった。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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