保守連合閣僚集団で醜態さらす
トニー・アボット保守連合リーダーは、2013年9月7日の総選挙の前に、「ABC、SBSの予算には手をつけない」と公約した。以前からルパート・マードック系メディアと保守連合政治家のABC攻撃は執拗に続いていたが、アボット政権樹立後間もなくして、「ABC、SBSの予算削減」が発表された。
しかし、アボット首相、首相の党内ライバル、マルコム・タンブル通信相が、「アボット氏の公約破りは公約破りでない」ことを証明しようと躍起になった。また、SA州のクリストファー・パイン教育相は、署名ウエブサイトを使って、「ABCにアデレードの番組制作体制を廃止しないよう」求める請願署名を募集した。あいにく、パイン教育相はABC予算削減の先頭に立っていた一人でもある。
タンブル通信相が、今後5年で2億5,400万ドルのABC予算削減を計画していることを確認したのに対して、11月24日、ABC放送のマーク・スコット会長が、約400人の人員整理やそれに伴い、アデレード・テレビ・スタジオ閉鎖、農村向け番組「ブッシュ・テレグラフ」廃止、ローカル・スポーツ報道廃止などを明らかにした。
政府やマードック系右派メディア・コメンテータはABC批判を続け、ABC閉鎖や民営化も主張しているが、国民の間、特に農村部のABCに対する信頼感は非常に高く、タンブル通信相がABCに対して、「予算倹約で対応せよ。番組廃止するな」と要求し、番組廃止に対する国民の反発をABCに向けさせようとしているが、政府の思惑に反して反発、特に正確な情報をABCに頼っている農村部の反発が政府に向かう可能性がある。
スコット会長は、人員整理をできる限り後方支援のオフィスでやりくりし、一線取材陣の人減らしを避ける方針を説明した。また、「組織の長期的な健全経営を確保するためにも改革は必要だが、失職する職員には何の慰めにもならないだろう」と語った。また、ゴア・ヒルのABC施設も売却する考えを明らかにした。
アボット首相は、再度連邦議会の質問時間に、「政府のほぼすべての部門が倹約を避けられないこととしている時にABCだけが予算カットを免れるわけにはいかない」と発言した。(NP)
http://www.abc.net.au/news/2014-11-24/mark-scott-announces-abc-job-cuts/5913082