【マツダ アテンザ / CX-5 改良新型】「一括企画」で実現したビッグチェンジ…技術革新にかける思いとは

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マツダ 商品本部の大塚正志 主査
マツダ 商品本部の大塚正志 主査 全 18 枚 拡大写真

マツダは20日、ロサンゼルスモーターショー14で『アテンザ』および『CX-5』の大幅改良モデルを初公開し、日本で2015年1月7日より発売すると発表した。

新世代ヘッドライトシステム「アダプティブLEDヘッドライト(ALH)」の搭載、前後ダンパーやフロントロアアームのブッシュ形状最適化などによる乗り心地の改善、NVH性能の向上による静粛性アップなど、新技術による革新をはかった両モデル。内外装もデザイン変更し、特にインテリアは新採用の電動パーキングブレーキ(EPB)によって、上質かつ快適な空間に仕上げられている。また、カーコネクティビティシステム「マツダコネクト」も全車に標準装備した。

従来であれば発売から数年後のマイナーチェンジのタイミングを待って、大幅改良や新技術の投入がおこなわれることが多い。しかしこれを待たずに今回、これほどの技術を投入できたのは、マツダのモノ造りの核となる「一括企画」の概念があるからこそだという。その理由を、CX-5の開発主査である商品本部の大塚正志氏に聞いた。同氏は2年程前まで商品企画部の部長を務めていた人物でもある。

モデルチェンジのタームは考えない

一括企画は、マツダのブランド価値を高め、ビジネス効率を向上させるために生み出された哲学だ。従来の開発生産は、個別の車種に合わせた最適構造を積み上げ、製造ラインも複数用意して行うものだった。しかし、一括企画ではまず始めに、異なるセグメントの車種と生産ラインを全て見通して企画を立てる。9割型の構造と生産方法を初期の段階で決めてしまうのだ。「コモンアーキテクチャー構想」に基づいてプラットフォーム、パワートレイン、システムなどを共通化し、その後車種ごとに修正が必要な部分には手を加える。また、生産面では異なる車種が加工できる、汎用性のあるラインで「フレキシブル生産」を行うことにより効率化・低コスト化をはかっている。

大塚氏は「やはりディーラーに来ていただいたお客様に、値引きや毎月のローンが云々ではなく、“マツダの車ってどれを見てもいつも新しい技術が入っていていいな”と思って買ってもらいたい。そういう思いから商品改良を行っている。フルモデルチェンジの次は2年後にマイナーチェンジ、その次はまたフルモデルチェンジ…というのは考えずに、テクノロジーを出来た端から入れていく」と話す。

「アテンザ発表時にはエクステリアのカラー技術を一歩進めたもの、つまりソウルレッドが登場した。それもすぐ他のモデルに展開している。お客様は古いものが欲しいとは思っていない。SKYACTIVのパワートレイン技術もコネクティビティもそうだが、技術があったらすぐに入れて展開する。そうして(お客様との)良い関係を築くことが、一括企画を行う意義だと考えている」(大塚氏)。

技術汎用が全モデルへの展開を可能に

今回、アダプティブLEDヘッドライトが両車に同タイミングで採用されることになったのも上記の理由からだ。このような高度な技術はコスト面での問題がある。どうしても上位車種からの導入になるが、“技術を汎用化”すればそれをコンパクトモデルまで展開することが可能だという。

「新しい技術も、車を作り続けていくうちに効率を覚え手間がかからなくなる。それが技術進化でありコストの低下に繋がる。技術的にはどの車にも適応できるように作っているので、そうすれば価格の低い車にも展開することが可能になる」(大塚氏)。

また、アクセラから採用となったマツダコネクトも両車に搭載。さらにナビゲーションシステムは、日本の複雑な道路環境や、ナビを使い慣れているユーザーの要望に対応し、国内メーカーのものに変更される(日本仕様車のみ)。ただ導入するだけでなく、これまでのフィードバックを得て利便性を高める配慮も施されているのだ。

◆効率アップの恩恵は新技術の開発に

一括企画は開発投資の削減、低コスト化、品質安定など様々な目的を持って行われているが、中でも重要なのが競争力のある商品・技術を培うという点だろう。大塚氏は「数値は例だが、これまでは10のモデルに10の工程でトータル100のリソースをかけていた。しかし、一括で企画することによって、そのリソースを90にまで減らすことができている。では残った10で何をするのか? 新しい技術を開発するのだ。良いものをいかに効率的に作って、かつ社内が継続的に仕事ができるような仕組みをつくるか。日本の資源である人と技術を最大限活用して、この国が生きていけるようにするのが、カーメーカーや企業の義務だと思っている」と述べる。一括企画により常に新しい技術を開発する土壌が、マツダには用意されているのだ。

「良い技術をいち早く入れる」という大塚氏。“良い技術”の定義を尋ねると、「いくつか視点があるが、一つはその技術に志、大義があるかどうかだと思う」と答えた。

「社会的意味や、世の中の何かを変えられる意義があるかどうか。その技術によって、どれだけのお客様が便利になるだろうとか、安全面であればどれだけの事故がなくなるであろうと言えるかだ。例えば、アダプティブ LEDヘッドライトであれば、夜でもなるべく昼間のように、雨でも晴れの日のように見えることで安全な運転につながる。さらに電動パーキングブレーキは、コンソール周りのスペースを有効活用して利便性や快適性を向上させたいという思いから導入したものだ。技術によって未来を少しでも切り拓くことができるかどうか、そういう視点で取り組 んでいる。」(大塚氏)。

《吉田 瑶子》

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