【池原照雄の単眼複眼】事故の現実見据えたトヨタの予防安全技術

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「Toyota Safety Sense C」を搭載したカローラ
「Toyota Safety Sense C」を搭載したカローラ 全 3 枚 拡大写真

コスト面含めトヨタらしいシステムに

トヨタ自動車が自動ブレーキを中心とする予防安全技術をパッケージとして開発し、2015年春から順次、乗用車に搭載する計画を発表した。同社はこうした技術は高級車から導入していたものの、自動ブレーキが軽自動車にも普及したため、一気に展開することにした。

【画像全3枚】

早速、できたばかりの自動ブレーキを体験した。作動速度域が広く、リアルワールドの事故予防や被害軽減に効力が期待できるとの実感だ。投入が後手に回ったが、コスト面も含めてトヨタらしい、しっかりしたシステムになっている。

この予防安全技術は「Toyota Safety Sense」(トヨタ・セーフティ・センス)と呼び、よりコストを抑えた普及版でコンパクトカー向けの「Toyota Safety Sense C」(以下「C」と表記)と、ミディアム・上級車向けの「Toyota Safety Sense P」(以下「P」)の2タイプを設定した。「C」はローエンド車から『カローラ』クラスまでをカバーする。両タイプとも(1)衝突回避支援・被害軽減の自動ブレーキ(2)車線逸脱警報装置(3)夜間の視界確保を支援する「オートマチックハイビーム」を共通で備える。

◆普及版の「C」で追突事故の8割強に対応できる

「P」はさらに、設定速度内で先行車両を追随走行するレーダークルーズコントロールもパッケージに加えている。車両前方を認識するセンサーは「C」がレーザーレーダーと単眼カメラ、「P」はミリ波レーダーと単眼カメラという組合せ。このため、自動ブレーキにはセンサーの性能から来る作動の差がある。「C」は10~80km/hの速度で作動し、30km/hの減速ができる。つまり先行車との速度差が30km/hなら、追突回避を支援できる。

「P」の方は10km/hから搭載車両の最高速度までと更に作動範囲が広く、自動ブレーキによる減速も40km/hが可能だ。また「P」には歩行者の検知機能もあり、その際は30km/hの減速ができる。トヨタによると「C」の作動範囲である10km/hから80km/hでも、実際に発生する追突事故の8割強に対応できるという。軽自動車や一部の登録車に搭載されている自動ブレーキの多くは30km/h以下でしか作動しない。だが、トヨタのシステムは広い範囲での作動により、現実的な事故の予防や被害軽減につなげるようにしている。

◆3年ほどで一気呵成の普及に取り組む

一方、安全や環境など先進技術は「普及させてこそ意義がある」というのがトヨタの理念であり、「Toyota Safety Sense」も求めやすい価格に設定する方針だ。安全技術担当の吉田守孝専務役員によると「C」は「軽自動車のものより性能はずっと良くなっているが、価格はほぼ同じ」とする計画であり、5万円以下となる見込み。また「P」は「比較されやすいものよりも求めやすい」(同)としており、富士重工業(スバル)の「アイサイト」シリーズ(=税抜き10万円)より低い設定を示唆している。

普及は、日本では15年春から「C」、同年夏から「P」の車種展開を始めるなど、15年から17年末までに日米欧ではすべての乗用車(OEM車など一部除く)で搭載できるようにする。新興諸国でもニーズを見ながら順次、展開する計画だ。

通常、こうした新技術は車種ごとのフルモデルチェンジ時に採用するケースが多いが、それでは3年弱という今回の普及計画は達成できない。吉田専務によると「マイナーチェンジでの採用はもちろん、Toyota Safety Sense搭載のための一部改良も行っていく」方針だ。世界の最量販メーカーがこのように一気呵成に動くことで、クルマの安全技術は大きな転機を迎える。

《池原照雄》

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