経済産業省と財務省は、中国から輸入された自動車用シートなどの素材が不当廉売され、国内産業へ実質的な損害を与えていると仮決定したと発表した。
経済産業省と財務省は、昨年12月に三井化学から「中華人民共和国産トリレンジイソシアナートに対する不当廉売関税を課することを求める書面」が提出されたことを受け、今年2月から不当廉売関税の課税の可否に関する両省合同の調査を実施してきた。
トルエンジイソシアナートは、無色の液体で、主に自動車用シートなどに使用されるポリウレタン軟質フォームの原料として用いられる。
調査では、利害関係者から証拠の提出、意見表明などの機会を設け、中国供給事業者に対する客観的な証拠の収集を行ってきた。この結果、中国からの輸入品が不当廉売された事実と、これによる日本企業の産業に実質的な損害を与えていると推定されることから、仮決定した。
今後、仮決定に対する利害関係者からの証拠提出、意見表明の機会を設けるとともに、WTO協定に定められた国際ルール、関係国内法令に基づいて引き続き調査する。
これらを踏まえ、不当廉売の事実と国内産業に与える実質的な損害事実の有無についての認定した上で、不当廉売関税の課税の可否を政府として判断する。