【WEC】王者トヨタがシーズン報告会実施…木下チーム代表「FIA表彰式で世界王座を実感」

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最終戦のレース後の記念撮影。チーム代表の木下美明(右)、マシン開発を統べる村田久武の両氏。
最終戦のレース後の記念撮影。チーム代表の木下美明(右)、マシン開発を統べる村田久武の両氏。 全 8 枚 拡大写真

今季のFIA世界耐久選手権(WEC)でLMP1マニュファクチャラーズとドライバーズの2冠タイトル獲得を果たしたトヨタ(TOYOTA Racing)が11日、都内でシーズン報告会を開き、チーム首脳らが初戴冠年の戦いを振り返った。

世界各地を巡る全8戦で争われた2014年のWEC。レギュレーション変更に合わせて新車「TS040 HYBRID」を投入したトヨタは、開幕2連勝と第5戦富士からの3連勝による計5勝を挙げ、第7戦バーレーンでA.デビッドソン&S.ブエミのドライバーズタイトル獲得を、そして最終戦サンパウロでトヨタとしてのマニュファクチャラーズタイトル獲得を決めた。トヨタがFIA(国際自動車連盟)の世界選手権シリーズにおいてタイトルを獲得するのは、WRC(世界ラリー選手権)で活躍していた1990年代以来のことで、サーキットレースでの世界王座は今回が初と見られる。

マニュファクチャラーズタイトル獲得が決まった最終戦サンパウロでは、他陣営のアクシデントによるセーフティカー先導走行でレースが終わってしまい、優勝したポルシェ14号車を追っていたトヨタ8号車は逆転優勝で王座獲得に花を添えることができなかった。王座獲得は最終戦前にほぼ確定の状況だったが、木下美明チーム代表(TMG社長)は「やはり現場で戦っている人間には、そのレース(での勝利)がすべて、という面もありますし、勝ってタイトルを決めて、喜びを爆発させるつもりでしたから、正直、消化不良な思いが強かったです」とレース当日のチーム全体の心境を語った。

しかし、12月になってドーハで開催されたFIAの年間表彰式(F1やWRC等と一緒の表彰式)に出席し、「各国のASN(自動車連盟、日本でいうJAF)の代表が集まる場で、このトロフィーをもらえるというのは、やはりとてもインターナショナルなことであって、ワールドチャンピオンになるというのはこういうことなんだな、と思いました」。そうしたこともあり、「世界タイトルを獲ったという喜びが、最近になって、だんだんジワジワと湧いてきましたね」と木下代表は言う。

トヨタにとって今回の世界王座獲得には、世界最高峰クラスでの勝ち負けという結果以上の価値もある。00年代中期から他に先駆けるかたちで取り組み、磨き上げてきた「市販車につながるレーシング・ハイブリッド」という独自の技術とともに辿り着いた頂であること、この意味は極めて大きく、報告会に出席した嵯峨宏英(トヨタ自動車ユニットセンター副センター長)、高橋敬三(TMSMモータースポーツオフィス シニアディレクター)、村田久武(トヨタ自動車モータースポーツユニット開発部長)の各氏も、そういった面での成果、喜びを強調していた。

木下代表は、最終戦のレース後にWECを戦う者たちが一堂に会して実施される「ノーサイドの」シーズンエンドパーティーにおいても、トヨタのレーシング・ハイブリッドでの挑戦の歴史が讃えられたエピソードを披露。「今年は僕が“MVP”の表彰を受けたのですが、その受賞理由は『勇敢な行動』だというんです。何が勇敢かというと、それは我々トヨタが『まだレースもレギュレーションもないうちから、よくぞレーシング・ハイブリッドへの取り組みを始めましたね』という意味だったんです」。

参戦3年目での世界選手権制覇、だがそこに至る道のりはもっと長く、市販車とも密接に関連する技術への挑戦があった。トヨタは来季2015年、連覇はもちろんのこと、それ以上の究極目標であるルマン24時間レース初制覇に向け、その挑戦を続ける。

《遠藤俊幸》

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