国際感染症センター トラベルクリニック 医長である金川修造氏は12月11日、都内で開かれた「うがいプレスセミナー」で「受験シーズンの健康管理と感染症対策」について講演。「家族全員でうがいすること」と「ポビドンヨードによる殺菌」の重要性を伝えた。
もともと学生の活動範囲は限定的だが、受験シーズンになると、クルマやバス、電車などで行動範囲が一気に広がる。また、混み合う空間に閉じ込められて移動する機会も増える。
さらに、普段の通勤などで人の密集する場所を行き来する父親や母親が受験生にインフルエンザをうつす可能性もある。
金川氏は、インフルエンザ感染対策として、感染源対策(消毒・学級閉鎖など)、感染経路対策(手洗い、うがい、マスクなど)、抵抗力(予防接種など)の三原則をあげる。そのなかでも意識が低いといわれる“うがい”もしっかりと行うべきだと指摘する。
「父母が混雑する通勤電車などに乗って移動した場合でも、細菌やウイルスが口腔内に付着してしまっている可能性があり、知らない間に自らが細菌やウイルスをばらまいていることもある。周囲の人に配慮し、細菌やウイルスをまき散らすリスクを少しでも減らすためにも、家族みんなでうがいを習慣化することが大事」(金川氏)
また、金川氏は“殺菌”を強調。「うがいは、水だけではなく、うがい薬によって口のなかを一時的にでも殺菌し、まき散らすリスクを減らすことが重要。殺菌効果の高いポビドンヨードは、細菌やウイルスを減少させる効果があるとの研究結果もある」という。
ポビドンヨード(Povidone-iodine)は、ヨウ素の酸化作用を利用した抗微生物成分。その独特な茶色は、消毒作用の活性を示すもの。「臨床とウイルス」(川名林治ほか)などの報告によると、ポビドンヨードは、単純ヘルペスウイルスやアデノ、風疹、麻疹、インフルエンザウイルスなどに対して不活化効果が認められているという。
家族みんなで口腔内を殺菌することが重要という金川氏は、「集団で防御すると、インフルエンザなどの感染インパクトも小さくなる」とも話していた。