青森県の弘南鉄道はこのほど、弘南線と大鰐線の両線でラッセル車の試運転を行った。雪の中を昭和初期に製造されたラッセル車・キ100形が電気機関車の後押しで走行し、機器操作などの確認が行われた。
弘南線での試運転は12月11日に実施。1929年に旧国鉄苗穂工場で製造されたラッセル車キ104を、1923年米ウェスチングハウス社製の電気機関車ED333が後押しする形で、黒石駅から弘前駅へ向け片道1回走行した。大鰐線では翌12日に、大鰐駅から中央弘前駅に向け午前と午後の2回実施。こちらも1937年旧国鉄苗穂工場製のラッセル車キ105を、1927年米ウェスチングハウス社製の電気機関車ED221が後押しする形で走った。
キ100形は旧国鉄(鉄道省)が1928年から製造した鋼製ラッセル車で、車両の分類上は「雪かき車」という貨車の一種。自車に動力はなく、機関車の後押しで走行しながら除雪する。かつてはキ100形のように動力のない「雪かき車」が除雪の主役だったが、ディーゼル機関車やモーターカーにラッセル装置などを取り付けた形の除雪車が普及し、現在では弘南鉄道のほか津軽鉄道(青森県)にキ100形が存在するのみとなっている。
弘南鉄道での昨年度の出動回数は、弘南線が16回、大鰐線が18回。両線ともに過去5年で最も出動回数が多かったのは2012年度で、弘南線で40回、大鰐線で34回出動した。