ダカールラリー2015は17日、アルゼンチンのブエノスアイレスにゴール。14日間の全日程を終了した。
日野『レンジャー』の2台体制でトラック部門に参戦した日野チームスガワラは、2号車菅原照仁/杉浦博之組が総合16位、1号車菅原義正/若林葉子/羽村勝美組が32位で完走。2号車は排気量10リットル未満クラスの6連覇を達成し、1号車も2位で続いてチームは2年連続の同クラスワン・ツー・フィニッシュを果たす結果となった。
この日はロサリオからブエノスアイレスへ戻る行程で、7kmの移動区間のあとグラベルの農道で174kmの最終SS(スペシャルステージ)を実施したが、前日までの降雨の影響で路面が泥濘化しており、34km地点のCP1までに短縮されることになった。その後舗装路に迂回してSSのゴールをめざし、さらに142kmの移動区間でブエノスアイレスに到着した。SSは2号車が総合21位、1号車が42位で走り終えたが、34kmという短距離のためタイム差は僅少で累積順位への影響は見られなかった。
ゴール会場となったのはスタート前の車検が行われた市内の博覧会場テクノポリス。当地でポディウムセレモニーが行われ、土曜日ということもあって数十万人の観客が会場ならび周辺の道路脇に詰めかけた。日野レンジャーは午後5時頃、ルーフ上にエンジニアやメカニックを乗せて大きな鯉のぼりや日章旗を掲げながら登壇。2台の乗員は日本から激励に駆けつけた日野自動車の市橋保彦社長とがっちり握手をかわし、手を振って歓声に応えていた。
今大会はブエノスアイレスを基点としてアルゼンチン、チリを巡るループ状のルートで14日間全行程8161km(うち競技区間3781km/いずれも事前の発表値)にわたって開催された。出力を向上したA09C-TI型エンジン(排気量8866cc、最高出力630PS)や改良型サスペンションによって戦闘力を高めた日野レンジャーは序盤から健闘を見せ、菅原照仁の2号車は5日に跳ね石が原因と見られるラジエターのトラブルで遅れたものの、その後は連日トラック部門の総合上位勢に分け入る速さを見せた。
菅原照仁は「内心総合トップ10入りも狙っていましたが、叶いませんでした。とはいえ目いっぱい無理して走っていた前回までとは違って、余裕があるというか伸びしろを感じさせるクルマに仕上がっていたことは大きい。将来に向けた希望の持てる、充実した大会でした」と語った。
また、今大会の参加者中最高齢となる73歳の菅原義正がステアリングを握る1号車は3人乗車による体制強化も奏功。終始安定したパフォーマンスで2号車をサポートした。そして車両の改良とともにメカニックによる連日徹夜の点検作業によって2台に目立ったトラブルが発生しなかったのも今大会の特質だ。
菅原義正は「想定していた通りの結果が得られ、ほっとしました。今回のラリーは歳をとったわりに調子が良く、気持ちよく走れました。クルマの改良と同時にトレーニングが効いたのかも知れません」と語っている。
日野チームスガワラは今回得られたデータや情報をもとに、次回大会に向けてさらなる戦力向上を目指す。