2015年の中国自動車販売は2500万台市場も視野に…競争激化も利益率改善の見込みも

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2015年の中国自動車販売は2500万台市場も視野に…競争激化も利益率改善の見込みも
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2月3日、ブルームバーグは2015年における世界の経済産業動向をアナリストが解説するセミナー(「ブルームバーグ・インテリジェンス」)を丸の内の同社オフィスで開催)した。その中で、自動車分野に関係するカンファレンスについてレポートする。

同社シニアアナリストでアジア太平洋の自動車セクター担当のスティーブ・マン氏は、「激しい競争下の新車販売レース」という講演を担当、主に中国の市場動向と予測について解説した。

同氏によれば、中国経済の成長鈍化、在庫の増加、新車登録制限が中国における自動車メーカーにとってのリスクになりかねない一方で、新型車投入や原材料費の低下により利益率が改善される見込みもあると説明する。


◆景気、新車登録制限、過剰在庫がマイナス要因に

マン氏は冒頭、金利の変動は自動車販売にインパクトを与える可能性が低いと前置きした上で、中国のマクロ経済成長、景気動向や新車登録制限が原因で自動車販売台の伸びが今後鈍化しかねないことを指摘する。

2014年(暦年)の中国自動車販売台数は約2350万台(推計)。今後この台数がどのように推移するかが注目されている。

「自動車販売の伸び率はGDPと近いところで推移することから経済成長が中国の自動車販売台数動向を考察する上で重要だ。中国政府が消費刺激策を行ったことなどを背景に、2009年から2010年にかけて中国の自動車販売台数の成長は非常に大きかった。ただ、このころと同じような成長、GDPの伸びというのは今後見込めない。2年前から切り取ってみても2013年にかけて15.7%だったのが2014年には10%になっており、業界では今後は5~10%の伸び率に留まる、という声も挙げられている」(マン氏)。

続けてマン氏は「渋滞緩和策・大気汚染抑制策の一環として、中央政府の方針により、都市によって新車登録の台数制限がおこなわれている、2014年では中国国内の自動車販売量の0.5%程度のインパクトで収まっているが、今後増えていく可能性もあり、とくに中規模の拡大著しい都市が対象になるとこの登録制限が自動車メーカーに効いてくることになる」と説明。さらにマン氏は中国における自動車メーカーの前年比在庫指標が増加しつつあることも指摘した。「過剰在庫は減産と値下げを後押ししかねない」(マン氏)。


◆新型車投入が中国自動車販売利益率を押し上げる

ただし中国自動車販売利益率にプラス要因として働く要素もあるという。新型車による売上伸長と原材料費の低下がそのカギだ。現在新型車のトレンドとしてSUVや小型車の人気が挙げられるが、このような新型車の投入は利益率の押上げと相関関係があるとマン氏は説明する。

「今後市場の中に勝ち組、負け組が出てくるわけだが、今後は新型車の投入に積極的なメーカーはシェアを伸ばしていくだろう。収益が黒字化する程度の設備の稼働率上昇につながると思われる」(マン氏)。また金属価格や原油安を背景とした自動車用部品のコスト低下もまた、自動車メーカーの利益率上昇を後押しする理由になりうるという。

このように成長鈍化、都市の新車登録制限策、在庫増加などのリスクがある一方で、新型車の投入による売上伸長の可能性、原材料コスト減による好機も存在する。したがって決して大きな伸びとはいえないかもしれないものの、総じて中国自動車メーカーの利益率が今後改善される可能性がある、と結論づけられた。

米国をしのぐ超巨大市場に成長した中国。2014年比で考えても母数が大きいだけに5%の成長でも2470万台近くに達する計算だ。この伸びがいつまで続くのか、欧米系メーカーにシェアで後れを取る日系メーカーがどこまで挽回できるかが注目される。

《まとめ・構成 北島友和》

《北原 梨津子》

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