気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2015年2月5日付
●トヨタ営業益2.7兆円、円安追い風2年連続最高更新(読売・2面)
●ソニー赤字幅縮小、3月期予想上方修正(読売・11面)
●ホンダも国内生産回帰、小型車英国から移管へ(読売・11面)
●トヨタに13億円支払い命令、米連邦裁「死亡事故車の欠陥一因」(朝日・8面)
●富士重部品を空輸、米の港湾争議が影響(朝日・8面)
●コメ、自動車政治決着へ,TPP日米協議大詰め(毎日・6面)
●スカイマーク5月下旬に再生計画案(産経・11面)
●JR中央線にグリーン車、東京五輪の2020年導入目標(東京・28面)
●米自動車3社そろって減益「新興国」「リコール」重荷に(日経・7面)
●マツダ、純利益最高、4~12月70%増(日経・13面)
●昨年の世界販売2.5%増の847万台、ルノー・日産連合(日経・13面)
●富士重、最高益2530億円、今期最終(日経・15面)
ひとくちコメント
「空前の2兆7000億円」という大きな数字がきょうの各紙の紙面におどっている。「一桁違う」とはよく言うが、そんな一桁どころではすまない驚くべき数字である。
例えば、同じ日に決算発表したマツダの2014年度の連結売上高見通しは2兆9800億円、富士重工業でも2兆8500億円を見込んでいるが、両社の売上高にほぼ匹敵する数字がトヨタ自動車の本業のもうけを示す連結営業利益見通しなのである。
きょうの日経が1面トップで大きく報じたほか、各紙も経済面などで取り上げている。空前の利益となるのは、「主力の北米市場での販売増に加え、円安で、円換算した際の利益がかさ上げされることが主な要因」(読売)との分析だ。
ただし、である。トヨタが空前の利益をあげる見通しの記事はそれだけでは終わらない。各紙のタイトルを見てもよくわかる。日経は「業績改善、還元は当然」という決算会見した佐々木卓夫常務役員のコメントが見出し。春闘での「賃上げを検討していく考えを示した」。また、部品の値下げ要求も凍結することで「賃上げが取引先にも波及することに期待を寄せた」とも伝えた。
毎日は「原資をどう振り向けるかは各社しだい」(小西工己常務役員)とし、「従業員の賃上げに直結するかは不透明だ」とくぎを刺す。
産経のタイトルも「利益還元トヨタ苦悩」とし、「持続的成長とベア先導板挟み」がサブ見出し。「もうけ過ぎ」との指摘もあり、「今後は約3万社とも言われる取引先や従業員への利益還元を求める声が一層強まるのは必至だ」と指摘している。