1964年生まれの『マスタング』は昨年、誕生50周年を迎えた。この記念すべき年にフルモデルチェンジされたモデルは7代目にあたる。
新型マスタングには直列4気筒の2.3リットルターボエンジンが搭載された。こう書くと「えっ、V8じゃなくなったの?」と嘆く人もいるだろけど、もちろんV8モデルも用意される。今回の2.3リットルは特別仕様車で、7代目マスタングの先行輸入モデルという位置づけと見ていい。
エンジン出力は314ps/44.3kgm。V8エンジンから発生される圧倒的な大トルク、大パワーと比べると多少物足りなさを感じる数値かもしれないが、実質は何ら問題ない。足りない足りない、らしくないらしくないと言うのは簡単。それよりも新たな方向性を見いだそうとしているフォードの姿勢に目をむけ、古くさい固定概念を捨てるほうが大切だろう。もちろんV8はいいはず、だがそうでないよさも感じたい。指定燃料がレギュラーである部分も非常にうれしい。
実際、この直4エンジン。低速からしっかりトルクを発生し、力強い走りが可能。V8のようなドロドロッとした音を出しながらの加速ではなく、もっとモダンな加速感。アクセルワークに対するエンジンの反応も、インテリジェンスのあるもの。とんでもない大トルクを持つマスタングも魅力だが、こうした扱いやすさを持つマスタングも新世代モデルとしての魅力を感じる。
足まわりはフロントがストラット、リヤはマルチリンクと現代的なレイアウト。乗り心地はフラットで、コーナーでの安定感も高い。コーナーでの身のこなしは、軽々としていてアクセル操作による姿勢制御もしやすい。あさらにアドバンストラックと呼ばれるシャシー系の統合制御装置が用意され、安定方向に制御が働くのはもちろん、スポーツモードという積極的に走りを楽しめるモードもあり、望むならば過激な走りもできる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。