アウディジャパンがエコカーレースに参戦!? クルマ好き有志が奮闘

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アウディジャパンの有志が「エコカー・カップ」に参戦
アウディジャパンの有志が「エコカー・カップ」に参戦 全 52 枚 拡大写真

ルマン24時間をはじめとするモータースポーツ活動に積極的なドイツブランド・アウディが、国内の新たなレースカテゴリーに参戦した。そのレースとは「エコカー・カップ」。とはいっても実は、インポーターである日本法人アウディジャパンの「クルマ好き」な有志によるもの。参戦には社長の承認も得ているのだとか。「クルマ好きじゃなきゃ、この仕事を選んでないですからね。皆でレースに出たかったんですよ」と、メンバー達は笑う。

13日、富士スピードウェイで開催されたエコカー・カップは、いわゆる草レース。2010年より開催されているハイブリッド車をメインとしたエコカーによるレースで、タイムの速さだけでなく燃費も順位に大きく関わる。上位の常連は、燃費性能の高いトヨタのハイブリッド車『プリウス』や『アクア』だが、近年ではディーゼル車や、小排気量エコカーなども増えてきているという。地域のディーラーの参戦は少なくないが、メーカー・インポーターとしての参戦は稀。そんなエコカー・カップに、アウディジャパンは小型ハッチバック『A3』と『A1』の2台体制で挑んだ。

「クルマ好きが多い」というアウディジャパンから参戦した今回のメンバーは、25名が在籍するというモータースポーツ部の中から選ばれた総勢11名。草レースとは言え、大々的なレースに参戦するのは初めてだが、休日に集まってはレーシングカートやバイクを楽しんでいるのだという。参戦のきっかけは「面白いかなと思って。WEC(世界耐久選手権)やルマンでは社員はサポートや見ている側ですけど、やっぱりサーキットを走ってみたかったんですよね」(メンバー談)。

A3は、1.4リットルターボエンジンに「シリンダー・オン・デマンド」という気筒休止システムを組み合わせ燃費性能を高めたモデルを用意。A1には同システムは装備されないが、軽さを活かした走りに期待する。作戦会議は本格的だ。前日の練習走行で得たデータをもとに、セクション毎のタイムを割り出し、燃費も計算。戦略シートも作り上げた。「プリウスみたいにエネルギー回生はないですからね。いかにニュートラル状態を上手く使い、速度を落とさずに走り続けられるかがカギですね」。前夜は、お酒を飲むのも忘れて作戦会議に興じていたのだとか。

3時間、約50周のレースの中でも常に車内の状況をモニタリングし、指示を飛ばす。が、指示を聞かずに好き勝手に走ってしまうメンバーが居ても「しょうがないなぁ」と笑う。走るからには、真剣。だが、何より「自分たちのクルマ」でサーキットを走れることを心から楽しんでいる様子だった。

この光景には見覚えがあった。昨年、ルマン24時間耐久レースで、アウディチームを取材した時のことだ。アンドレ・ロッテラー選手が時に真剣に、そして何よりレースを走ることができる喜びを満面の笑みとともに語ってくれたのを思い出す。チームメイトとはいつも冗談を言い合い、これから世界選手権に挑む戦士とは思えぬ程のリラックスした雰囲気と、家族のような温かさを感じたものだ。そして、アウディレーシングのウォルフガング・ウルリッヒ代表の言葉だ。「我々のレースはラップタイムだけを追求しているわけではない。一番大切なのはチームワークだ。信頼性においては、(他チームを)リードしている」。そして、ルマン優勝を勝ち取った。今回のエコカー・カップはもちろん、世界選手権で1秒を争うものとは全く異なるが、こうした温かみのある関係づくりや「クルマを楽しむ」という精神は、アウディ共通のものと言えるのかもしれない。

今回のエコカー・カップでは、残念ながら総合優勝とはならなかったが、A3、A1ともにクラス優勝を獲得した。「次はもっと上に行けるよね」「やっぱり前半で燃費を稼ぐのが良いんだよ」「もっと人員を増やしてやろう」など、片付けもそこそこに早くも次回の参戦に向けて作戦会議が開かれていた。

「モータースポーツ部には、色んな部署の人間が集まっているんです。普段話さないようなことを話せる良い機会ですよ。軽量化のアイデアひとつとっても、担当部署によって考え方が全く違ったり。個々では気づかなかった新しい知識をもらえる良い場ですね」(ブランドプロモーション担当・中原さん)。

アウディジャパンは2014年、販売台数が3万台を超え8年連続の成長を果たした。クルマが好き、という想い、そして社員・メンバーの良い関係づくりがアウディの商品力を生み出す源となっているのかもしれない。

《宮崎壮人》

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