【トヨタ アルファード 試乗】バカ受けのクルマだが、謎の残る設定…中村孝仁

試乗記 国産車
トヨタ アルファード
トヨタ アルファード 全 8 枚 拡大写真
発売1か月で4万2000台を受注したトヨタ『アルファード』『ヴェルファイア』。ズバリ、バカ受け状態で、改めてミニバン人気の高さ、というかこの兄弟車の人気の高さを窺い知ることが出来る。しかし、謎な部分もある。

今回試乗したアルファードは、3.5リットルV6を搭載したSA“Cパッケージ”および、2.5リットル直4を搭載したS“Aパッケージ”の2台。SAというグレードはいわば中間グレード。そしてSは下から2番目のほぼベースグレードと言ってよい存在のモデルである。

まず謎といった部分から話をしよう。実は新しいアルファード/ヴェルファイアには、世界初の機構が盛り込まれている。それがスーパーロングスライドシートだ。助手席のスライド機構が2列目と1本で繋がって、最大1160mmのスライド量を誇る。こいつを思う存分使うと、助手席は何とほとんど2列目の位置まで下げることが出来る。オットマンを出してくつろげば、まさしくファーストクラスのレッグスペースを作り出すことが出来るのだ。しかし、この装備が付いているのはアルファード全13グレード中、たったの3グレードでしかない。それも装備されるのは中間グレードのSAまでで、いわゆる上級グレードにはその設定がないのである。

理由はいたって簡単で、手動スライドのモデルにしか設定されず、電動には装備されないからだ。考えてみたら1160mmを電動でスライドさせるにはえらく時間がかかるし、スイッチを押しっぱなしにしなくてはならない手も疲れる。だから付いていないのだが、この事実は実際にアルファード/ヴェルファイアを購入した人物でさえ知らず、「後ろまで下がらないから何でかなぁって思っていた」と話してくれた。カタログでも堂々1ページを割いて解説しているのに…だ。もっともそれによるメリットは一体何かと質問しても、あまり納得のいく答えは返ってこなかった。謎である。

二つ目は、すでにバカ受けなのだから何をか言わんやだが、その個性ある面構えだ。イメージは“豪華・勇壮”なのだそうだ。デザインはとにかく趣味趣向も大きくものを言うから、敢えて論評するつもりはないが、あくまで個人的な感想としては、正直好きではないし、豪華にも見えない。これは別に謎ではなくて、なるほどこういうデザインが受けるんだという新たな発見でもあった。

という状況で、ヴェルファイアでは試さなかったV6搭載車と、2.5リットル直4搭載車に乗った。後者の2.5リットルから話をすると、全体的なパフォーマンスはこれで十分だと思う。何よりCVTの制御が先代車とは大幅に変わって、エンジンの唸りに対して加速がついてこないという違和感がほとんどなくなったから、人間の感性にマッチする。2.4リットル時代と比較して大幅に性能アップを果たしているかといえば、そんなことはないのだが、スムーズな加速をしてくれるので、何となく性能的にも上がった印象を受ける。それに静粛性が俄然高くなっている。正直言って先代車に乗っているユーザーが、冷やかしのつもりでディーラーに行って試乗したら、その違いの大きさに思わず契約書に印を押してしまいそうなほど、ニューモデルは良くできている。それにリアがダブルウィッシュボーンになった効果は、乗り心地だけでなく運動性能面でも効果があって、ついつい飛ばしたくなる。

もっとも、ついつい飛ばしたくなるのはやはりV6搭載車の方だ。チョイスできるエンジンの中では圧倒的なパフォーマンスを誇ることと、唯一CVTではなく6ATとの組み合わせで直観的な動力の伝達を堪能することが出来るので、右足に力を込めた瞬間にグイッと出ていく様は、やっぱりこれだな、という思いを強く持った。ただ、さすがに燃費は悪く、JC08モードでも燃費は9.5km/リットルだから、実用燃費は推して知るべし。しかもこいつだけはプレミアムガソリンを要求する。ある意味では一番贅沢なグレードかもしれない。

最後に新しいアルファード/ヴェルファイアに装備されたシートスライド同様世界初の機構、インテリジェントパーキングアシスト2についても触れておこう。正直なところ解説を聞いてもどこが世界初なのかはわからなかったが、縦列、後退車庫入れともに対応するパーキングアシストで、スペースを選択したらあとはスイッチをを押すだけ。ドライバーはブレーキとアクセルのコントロールをするだけでよい。駐車が苦手という人には有り難い装備ではあるが、すでに装備されている他メーカーのクルマに乗っても、個人的にはまず使ったことがない。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★


中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

この記事の写真

/

ピックアップ

Response.TV