クランタン州、イスラム刑法関連改正法可決 友党のDAPやPKRは批判

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クランタン州議会は19日、イスラム刑法の本格実施に向けた「1993年シャーリア刑法2」の改正法案を賛成多数で可決した。

連邦憲法との不整合の問題が残されていることから、同州与党の汎マレーシア・イスラム党(PAS)は今後下院議会への改憲法案の上程、可決を目指すとみられる。

同州議会はPASが31議席、同州野党・統一マレー国民組織(UMNO)が12議席、PASと共闘する人民正義党(PKR)が1議席、空席1議席となっているが、州議会には議員44人全員が出席し、全員が法案可決に賛成した。同州では与野党議員の全員がマレー・イスラムで、異教徒の議員はいない。

改正法には非イスラム教徒には適用しないこと、同州内で罪を犯した刑法年齢に達したイスラム教徒のみが適用対象になること、夫婦間の不自然な性行為への罰則などが盛り込まれ、非イスラム教徒が世俗法の刑法またはイスラム刑法を選べる項目などは削除された。アハマド・ヤコブ州首相は、必要な手続きを経て年内にも施行したいとの考えを示した。

ハッド刑(Hudud、固定刑)は石打ちや鞭打ち、手足の切断などを伴うため人道的な観点から批判の声が多い。野党連合・人民同盟(PR)で共闘する民主行動党(DAP)は、友党の意向を無視してPRの公約にないイスラム刑法導入を強行したPASを強く批判。PKRも野党連合の協定違反だと批判している。

DAPやPKRといったリベラル派野党にとっては野党連合を揺るがす事態だが、UMNOにとっても所属議員12人が賛成に回ったことで、党内のイスラム権利主義勢力への対策としては有益であっても与党連合・国民戦線(BN)で共闘する非イスラム政党との摩擦は避けられそうもない。

伊藤 祐介

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