【マツダ ロードスター 試乗】理屈抜きで楽しい4代目、乗り心地は歴代最良…片岡英明

試乗記 国産車
マツダ ロードスター 新型(量産試作車)
マツダ ロードスター 新型(量産試作車) 全 29 枚 拡大写真

ついに第4世代の『ロードスター』がベールを脱いだ。目の前に現れたND型ロードスターは先代より筋肉質で、凛々しいデザインだった。

小振りになっているが、強い存在感がある。インテリアもステアリングの内側にメーターを配したドライバーオリエンテッドのデザインを継承した。軽量化に励んだためか、インテリアの質感は物足りない。インパネは樹脂の打ちっぱなしだし、メーターパネルやスイッチ類も安っぽく感じる。これが残念。

ボディサイズだけでなくパワーユニットもダウンサイジングを図った。心臓は「SKYACTIV-G」と呼ぶ1.5リットルの直列4気筒DOHCだ。『デミオ』は横置きだが、ロードスターは縦置きレイアウトとし、多くのパーツを専用設計としている。

まずは6速MTに試乗した。

ドライビングポジションは、このクルマがこだわったことのひとつだ。意識してタイト感を演出しているが、多くの人は最適なポジションを取ることができるだろう。ペダル類の配置は適切だし、シートに座って操作するときも先代より一体感があって好ましい。

自慢の6速MTはショートストロークで、小気味よく変速できる。シフトレバーの重さとクラッチ踏力もバランスが取れていた。バケットタイプのシートはホールド性とサポート性、ともに良好だ。

SKYACTIV技術を駆使した1.5リットルエンジンは高回転までストレスなく回りきる。レブリミットの7500回転まで軽やかに回り、応答レスポンスも鋭い。クロスレシオの6速MTと相まって、伸びやかで刺激的な加速を披露した。

回転が上がるほど活気を増し、耳に心地よいエンジン音を奏でる。排気量は500cc小さくなったが、3000回転から上をキープすれば非力な印象は皆無だ。逆に先代よりも操る楽しさが増したように感じる。

6速ATもいい仕上がりだった。スポーツモードをチョイスし、パドルシフトを駆使すれば気持ちいい走りを楽しめる。楽しさは6速MTに一歩譲るが、トルクの細い低回転ゾーンをATが巧みにカバーしてくれるから扱いにくさはない。すべてをATに委ねてファミリーカー的に運転することも可能だ。

ちなみに100km/h巡航は6速MT車が2500回転だった。6速AT車はそれより400回転ほど低いから静粛性は一歩上を行く。

ハンドリングは、もっとも高く評価できる項目だ。初代のNAロードスターのようなヒラリとしたコーナリング感覚と軽やかなハンドリングが好ましい。

ステアリング操作に対する応答性は正確で、狙ったラインにスッとクルマが向きを変える。小さい舵角を与えたときも、リアタイヤだけでなくフロントタイヤにも十分に荷重が乗り、軽やかな身のこなしを見せた。たまに巻き込むような挙動が見られるが、軽量ボディになったことにより、爽快に駆け抜ける感覚は強められている。

初代と違うのは、ヒラリとした軽快なハンドリングに加え、路面に吸いついたかのような安心感とスタビリティ能力の高さを備えていることだ。

高速道路で行ったレーンチェンジでは不快な揺り返しに悩まされることなく速やかに元のレーンに戻ることができた。応答レスポンスは鋭く、遅れることなくクルマが機敏に向きを変えてくれる。ただし、速いスピードでコーナーを攻めるとロールは強めに出たし、フロントも逃げる素振りを見せた。が、ドライバーの意思どおりに修正しやすく、切りすぎたと感じたときでもグリップ感が失せない。

快適性もオープンカーとしては高いレベルにある。試乗した日は風が強かったが、一般路ではオープンにして走っても風の巻き込みは小さかった。サイドウインドーを上げ、ヒーターとシートヒーターを使えば寒い日でも予想以上に快適だ。高速走行でも法定速度内ならソフトトップのバタツキも気にならなかった。

荒れた路面を走り抜けたときもサスペンションはしなやかに動く。乗り心地も歴代のロードスターの中で最良と断言できる。気分よく操ることができ、理屈抜きで楽しいのが4代目のND型ロードスターだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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