【マツダ CX-3 発売】エンジンブロックに穴開けて振動を計測…世界初のノック音低減技術

自動車 ニューモデル 新型車
マツダ エンジン性能開発部 森恒寛主幹
マツダ エンジン性能開発部 森恒寛主幹 全 12 枚 拡大写真

マツダが2月末に投入した『CX-3』は、国内向けは1.5リットルのSKYACTIVディーゼルエンジン(DE)1本。このエンジンにはDE特有のノック音を低減する世界初の技術が採用されている。担当したエンジン性能開発部の森恒寛主幹に開発経緯などを聞いた。

この機構は、エンジン内部の振動によるノック音をピストンピンの中に設置した「ナチュラル・サウンド・スムーザー」と呼ぶ円筒状の小さな金属部品で低減するものだ。DEをSKYACTIVシリーズとして開発するに当たり、静粛性を高める技術のひとつとして着目した。

森氏によると「エンジンの振動周波数が3.5kHz(キロヘルツ)当たりでノック音が高まることから、これを打ち消す振動を起こすことで低減できるはず」というのが出発点だったという。ただ、振動がエンジン内のどの部品から発生しているのかは、コンピューターシミュレーションでも明確に把握できず、開発は進捗しなかった。

そこで手掛けたのが、エンジンブロックに穴を開けてエンジンを実際に運転しながら各部品の振動が計測できる装置を開発。実験の結果、ピストンとクランクシャフトをつなぐコンロッドが伸縮しながら発生させる振動がノック音の主因と判明した。「この計測が実用化への大きな原動力」(森氏)となって開発は加速していった。

コンロッドの振動を打ち消す部品(スムーザー)をどこに設置するかも課題だったが、コンロッドとピストンをつなぐ「ピストンピン」が空洞であることから、白羽の矢が立った。円筒状のピストンピンの中に、重量や形状をコンピューター解析も加えて最適化したスムーザーを挿入、更に実験を繰り返すことで実用化が成った。

森氏によると、ノック音の低減効果が明瞭なのは「20~40km/h当たりからの緩やかな加速をする際」だという。あえて擬音で表現してもらうと「ガラガラ」が「コロコロ」に変わる感じであり、「音の低減とともに、より自然なエンジン音になった」という。いわば感性領域でもあるが、同社の次世代技術群であるSKYACTIVにふさわしいテクノロロジーといえよう。

中上級グレードのAT車にエネルギー回生システムの「i-ELOOP」とセットでオプション設定(消費税込み6万4800円)されている。発売後1か月で1万台強となったCX-3の初期受注のうち、13%の顧客が搭載を選択している。

《池原照雄》

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