ワイモバイル Car Wi-Fi で車載専用Wi-Fiルータの存在意義を考える

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ワイモバイルの車載用Wi-Fiルーター「404HW]
ワイモバイルの車載用Wi-Fiルーター「404HW] 全 14 枚 拡大写真

モバイラーにとって欠かせないWi-Fiスポット。全国各所でその恩恵にあずかれるようになった一方で、なかなか実現しなかったのが車内での対応だ。そんな中、日本初の車載用LTE対応Wi-Fiルーター“Car Wi-Fi”こと「404HW」(税別1万4889円)がワイモバイルから登場し、注目を集めている。

◆最大10台の端末が接続できる

この端末の魅力は、シガーソケットに直接差し込んで使うだけで車内にWi-Fiスポットを用意できることにある。本体側面にはワイモバイルのSIMカードを差し込め、本機だけで通信ができるため、使い方はとても簡単。シガーソケットに差し込んだ状態で本機の「Huawei」ロゴボタンを長押しすれば、イルミが赤から緑(電波状態が“強”時)に変わって自動的に接続待ち状態となる。この状態になるまでだいたい20秒前後。イルミが緑に変わったら端末側から該当するSSIDを探して指定されたパスワードを入力すれば接続は完了する。

起動後は移動中でも連続してWi-Fi(2.4GHz 帯の IEEE802.11b/g/n )が車内で楽しめ、同時に接続できる端末は最大10台と十分。また、本体には電源も取れるUSB端子を備えており、タブレットやスマートフォン、ゲーム機などの電源用として利用可能。出力は1Aとやや物足りないが、これによってルーターと共に電源の心配なしに長時間にわたって利用可能になる。ここにモバイル用Wi-Fiルーターとの大きな違いがあると言っていいだろう。

ボタンが備わる部分はシガーソケットに差し込む部分よりも大きく、これが車種によってはセンターコンソールやインパネなどに当たることもありそう。今回はダイハツの新型『ムーヴ』でこれを試してみたが、本機をシガーソケットに問題なく差し込むことは出来たものの、USBケーブルを接続すると若干傾ける必要はあった。どうしても入らない場合はシガーソケットアダプタなどをカー用品店で購入して対応するといいだろう。

通信方式は、W-CDMA方式(2.1GHz)と、FDD-LTE方式(2.1GHz/1.7GHz/900MHz)。Wi-FiはIEEE 802.11 b/g/n(2.4GHz)に対応する。回線速度計測アプリ「RBB SPEED TEST」で実際の通信速度を測ってみると、千葉市美浜区で「40.87bps(下り)/27.54Mbps(上り)」、都心に近い東京のお台場で「10.66Mbps(下り)/24.93Mbps(上り)」。お台場での下りが遅かったが、郊外の千葉県佐倉市でも「33.18Mbps(下り)/10.85Mbps(上り)」と十分な速度。ビル陰や、地形的に谷間になっているところでは通信状態が不安定になってフリーズするような場面が見られたが、全体として不便さを感じるほどではなかった。

なお、本機にWi-Fi接続されていない時間が30分以上経つとネットワークとの接続は自動的に切断され、再びWi-Fi接続するとネットワークに接続される仕組みとなっている。これは無駄なトラフィックを持たせないためにも必要な機能としてやむを得ないだろう。

不便さを感じたのは、エンジンを起動しても自動的に電源がONされないこと。休憩などでクルマを離れた後はいちいち電源ボタンを長押ししなければならず、同乗者に請求されて初めて気付くこともあったほど。大した手間ではないが、煩わしいのは確かだ。おそらく、エンジンを切ってもシガーソケットの電源がOFFにならない輸入車などへの配慮だと思われるが、仮にそうだとしたら、後述する詳細設定で選べるようになると便利だと思う。また、電波の強弱は表示されるイルミでわかるようになっている(弱:黄色/強:緑)が、いまつかんでいるのが3GなのかLTEなのかくらいはインジケーターで分かればありがたいと感じた。

その本機の詳細な設定は、本機と無線LAN接続したパソコンやスマートフォンなどのモバイル機器で可能だ。指定のURLを入力すると専用ページが起動し、ここでソフトウェアバージョンなどを確認し、ファームウェアの更新、さらにはログインパスワードの変更や、本体初期化、再起動などが行えるようにもなっている。一般的なモバイルルーターを利用したことがある人ならば戸惑うことはないだろう。

◆スマホプランL契約者なら7GBまで通信費無料でシェアできる

契約方法は、ワイモバイルだけが提供している『シェアプラン』がもっともお得だ。このプランは、同社のスマートフォンとデータ通信容量を無駄なく分け合えるもので、7GBを高速で使える5980円(税別)「スマホプランL」なら同じ枠内での無料利用が可能になる。つまり、この端末を購入するだけで、追加料金は発生なしに利用が可能になるのだ。ただ、1GBの「スマホプランS」で980円/月、3GBの「スマホプランM」で490円/月(いずれも税別)がそれぞれ追加料金がかかるので注意したい。

また、この端末は単体でバッテリーを備えていないため、モバイル用として持ち出すことは出来ない。ならば、モバイル用Wi-Fiルーターとの組み合わせが良いのではないかとの考え方もあるが、この組み合わせでは残念ながらシェアプランは利用不可。つまり、ワイモバイルのスマートフォン(※DIGNO DUAL 2 , AQUOS PHONE ef , AQUOS PHONE esは対象外)と組み合わせ、スマホプランLで「シェアプランセット割」を適用させるのがオススメの契約方法となる。

◆レジャー、ビジネスでクルマの新しい活用法

では、車載用Wi-Fiルーターは具体的にどんな使い方が想定されるのか。

すぐに思い浮かぶのが、家族でドライブへ出掛けてやむなく渋滞に遭遇してしまった時。今までならビデオやテレビを見せることで対応していたが、実はビデオは見飽きていることもあるし、テレビは必ずしも興味ある内容が放送されているとは限らない。そんな時、タブレットなどを通してWi-Fi接続が出来れば、ストリーミングで楽しめるオンデマンド型の映像コンテンツを再生して楽しめる。さらにネット接続してゲームを楽しむことも可能だ。

さらにビジネス用途でも重宝することは間違いない。Wi-Fiスポットにある店舗では周囲を気にしながら仕事しなければならないが、車内ならそんな心配もない。駐車スペースさえ見つければ、いつでもどこでもパソコンやタブレットでネット接続しながら堂々とスマートフォンを使って通話できるのだ。このメリットはかなり大きいように思う。また、マイクロバスなどでのWi-Fiサービス提供としても活用はできるだろう。その他、スマートフォンなどを使ったカーナビとしての利用も想定される。

Wi-Fiスポットが車内にも用意されることで、乗車中の楽しみ方は大きく広がる。これまで車内Wi-Fiスポットがどうして用意されてこなかったのか不思議なぐらいだ。これをきっかけに、遅れていたクルマでのネット環境は大きく変化し、車内Wi-Fiを様々な形で活用する方向性も出てくるだろう。

《会田肇》

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