昇給停止、雇用不安定化、失業不安
新しい調査報告でオーストラリアの労働者の生活水準は今後下り坂になる可能性が予想されている。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。
先日にはオーストラリアが世界でも有数の生活費の高い国との報告が出された。今は、オーストラリアの労働者の賃金上昇が止まっており、しかし、物価は上がりつつある一方で新雇用もパートタイムや臨時雇用が増え、全体に不安定化している。このままでは今後ますますその傾向が強まるだろうとされている。
国内労働者は通勤にこれまでより週1時間長く時間を使っており、大都市圏の住宅はますます中低所得者には縁遠いものになりつつある。
この報告書は独立系シンクタンクの「Per Capita」が発表したもので、労働側と資本側の所得格差がますます大きくなってきており、国内全所得に対する労働賃金の比率は2001年初めの65.5%から2012年の59.7%に下がっている。しかも、同時期の生産性向上分が資本によらず、労働側に担われてきたことが挙げられている。
この報告書「失楽園: オーストラリアの生活水準を維持するために」は、生産性向上の鈍化、失業率上昇、賃金上昇率鈍化など様々な原因でオーストラリア国民の生活水準が危うくなっていると警告している。また、過去10年間、経済改革が途絶えていることとオーストラリアの経済状況が変化していることから、このまま何の手も打たなければ所得・賃金水準が大幅に下がっていく可能性があるとしている。
報告によると、2001年から2014年までの平均的労働者の賃金は毎年$484上昇していたが、2011年からは名目賃金上昇率が毎年下落しており、実質賃金は2013年には下がっており、平均収入で$118減収になっている。また、通勤時間は2002年の平均労働者で1週間に3時間37分を通勤に使っていたが、2014年には4時間50分にのぼっている。
また、1992年と2009年を比較すると、有給休暇付きのパートタイム雇用人口が倍増、フルタイム・カジュアル雇用人口も倍増、パートタイム・カジュアル雇用が50%増えている。一方、自営業者と有給休暇付きのフルタイム雇用の伸びは30%未満と遅れている。
■ソース
Australians’ living standards face the greatest threat in a generation: report