ランドローバーのラインアップに新たに加わったモデルが『ディスカバリースポーツ』。実質『フリーランダー』の後継モデル(公式アナウンスはないが)ということになる。
“ディスコ”の愛称で呼ばれるディスカバリーは、3列シートが基本でユーティリティ&クロスカントリーラン重視のモデルというイメージが強いが、新たに追加されたディスカバリースポーツは、高級感にあふれていた。試乗したモデルがHSEラグジュアリーともっとも装備が充実したモデルであったこともあるが、その雰囲気は“コンパクトな『レンジローバー』”というものだった。
搭載されるエンジンは『イヴォーク』と同じ2リットル4気筒のダウンサイジングターボで、最高出力は240馬力、最大トルクは340Nm。このエンジンに9速のATを組み合わせる。しっかりとした低速トルクを持つエンジン特性で、アクセルペダルを軽く踏み込むだけでスッとスタート。その後の加速感も力強い。エンジン回転で加速するというタイプではなく、トルクで引っ張るタイプの加速なので、クルマのもつ上級感とのマッチングもいい。
試乗はオンロードのみとなったが、もちろんランドローバーらしくクロスカントリー性能も高いレベルで確保。路面状況に合わせて、エンジン特性やダンパーの減衰力、ATのシフトタイミングなどを調整するテレインレスポンスも5つのシチュエーション(草地、砂利道、泥やわだち路面、砂浜、オリジナル設定)が用意され、オールティレイン性を発揮する。ドライビングポジションは高めで、視界が開けているがハンドリングに対しては背高感はない。乗り心地もフラットでスッキリしたもの。なによりも驚いたのは、ビックリするほど静粛性が高いこと。これで直4かと思わせるほどだった。
オプションで装着されていたナビゲーションは、デュアルビューと言われるもの。運転席側からは地図、助手席からはテレビが見られるというもので、安全を確保しつつ車内エンターテインメントを成立させている。また、試乗車にはリヤシート・エンターテインメント・システムも装備されていたので、車内エンターテインメントはさらに濃い。
ディスカバリーは3列シートが標準となっているが、このディスカバリースポーツは3列目のシートはオプション。快適と言えるだけのスペースはなく、あくまでエマージェンシー用と考えたほうがいいレベル。デジタルステレオカメラを用いた緊急ブレーキやクラス初となる歩行者用エアバッグの標準装備など安全面もかなり充実している。試乗車の車両本体価格は692万円。ブランド、装備を考えれば妥当。絶対値ではやはりお高いと感じてしまう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。