【マツダ ロードスター チーフデザイナーに訊いた】Aピラーを下げたら違う世界が見えた…第2弾

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マツダ ロードスター 新型
マツダ ロードスター 新型 全 12 枚 拡大写真

6月に発売予定の新型『ロードスター』のデザインについて、中山雅チーフデザイナーが語る、ロングインタビュー第2弾。歴代ロードスターよりAピラーを後ろに引いたのが、新型のプロポーションの最大の特徴だが、それはどのように決まったのか。

【画像全12枚】

最初はNCの縮小プロポーション

「開発当初のパッケージング検討の段階でエンジニアにリクエストしたのは、先代(NC)の縦横比を守ったままボディを小さくすることだったんです」と中山チーフ。

全長をNCより短くすると同時に、そのぶん全高も下げることを求めたわけだ。「それにエンジニアが応えてボンネットを下げてくれたし、乗員のヒップポイント地上高もNCより20mmも低くすることができました」

しかし、その初期パッケージングで原寸大モデルを作ったところ、問題が発覚した。

「当然の結果ですが、NCのプロポーションのまま小さくしたから弱々しく見える。これではダメ。アメリカやヨーロッパのデザイン拠点の責任者にも見てもらったのですが、とくにアメリカのデザイナーが難色を示して…。ただ、そこで彼らといろいろな議論ができたのは収穫でした」

◆Aピラーが動くプロポーションモデルで位置を検討

その議論を経て、「Aピラーの位置を動かせるモデルを作ってみた」と中山チーフ。まだスタイリングは何も決まっていない段階だ。スタイリング要素は抜きにして、プロポーションだけを検証する原寸大モデルを作り、そのAピラーを動かせるようにしたのである。

「Aピラーを少しずつ後ろに動かしていったら、あるところで突然、違う世界が見えてきた。それを開発部門のトップに見せたところ、『これで行こう』となって…」

乗員基準でAピラーを70mm後ろに引くことが、そこで決まった。そのぶんソフトトップが小さくなり、それを格納するスペースも小さくなってリヤを短くできる。歴代ロードスターと比べると、乗員からリヤエンドまでが最も短い。これも新型のプロポーションの特徴だ。

◆剛性と軽量化、アメリカの法規への対応に苦心

Aピラーを後ろに引いても、ヒンジピラー(ドアヒンジを取り付ける骨格)の位置は変えられない。それを後退させると、乗り降りするとき、脚が引っ掛かってしまうからだ。

そこでヒンジピラーとAピラーをオフセットすることになったのだが、「そのままではボディ剛性が下がるし、補強すれば重くなる。そこをエンジニアが解決してくれたおかげで、このプロポーションを実現できました」と中山チーフは振り返る。

もうひとつ悩ましかったのは、アメリカの法規だ。シートベルトを装着していなくても、衝突時の頭部傷害を減らせるようにしなくてはいけない法規(ヘッドインパクト要件)がある。Aピラーを後ろに引くとこれを満たすのが難しくなるのだ。

「NCはNB(2代目)よりAピラーを少し前に出しつつ、ウインドウフレームを高くして、衝突時に乗員の頭がウインドウフレームに当たらないようにしていた」(中山チーフ)

逆説的だが、このNCが新型のヒントになったという。乗員とAピラー/ウインドウフレームの距離が70mmも短くなったので、開放感が減る懸念があったが、「乗員がウインドウフレームを見上げる角度をNCと同じにしながら、ウインドウフレームを下げつつ後ろに引けば、NCと同等の開放感を得られる」と中山チーフ。

「ヘッドインパクト要件では不利になるけれど、これもエンジニアが頑張ってくれた。ウインドウフレームの断面を薄くすることで、要件をクリアできました」

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは審査委員長を務めた。

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