【セイワ PIXYDA PXN207S インプレ】ナビ機能重視派は注目したい強力コスパPND

自動車 テクノロジー カーナビ/カーオーディオ新製品
セイワ PIXYDA PXN207S
セイワ PIXYDA PXN207S 全 30 枚 拡大写真

カーアクセサリーやカーエレクトロニクス製品の大手であるセイワから、PNDの新製品が一挙に5モデルも発表された。その中から、コストパフォーマンスに優れたエントリーモデルである「PXN207S」をインプレッションする。低価格モデルという位置づけだが、かつての安物PNDのような未完成さは全くない。

◆イエローハット販売のエントリーモデル

スマホのカーナビアプリが普及した今もPNDの愛用者は多く、根強い人気がある。パナソニック(旧三洋)「ゴリラ」シリーズやユピテル「イエラ」シリーズなどが定評を得ている、カー用品店を中心に人気ブランドへと成長しつつあるのが「PIXYDA(ピクシーダ)」シリーズだ。カーアクセサリーやカーエレクトロニクス製品の大手メーカーであるセイワが独自に開発、展開するモデルで、高いコストパフォーマンスを武器にじわじわと支持を獲得しつつある。

セイワはこの春にPIXYDAのPNDを5モデルも一挙に発表した。商品に人気と自信がなければ出来ないことだろう。

今回発表された5モデルは、静電容量式タッチパネルのモデルと、感圧式タッチパネルのモデル、フルセグ搭載モデルと、ワンセグ搭載モデル、7インチモデルと8インチモデルに別れる。その中で、今回取り上げるPXN207Sは感圧式パネル、ワンセグ、7インチとなっており、価格レンジは2万円代前半のエントリーモデルだ。イエローハットで販売されるモデルとなっている。

もともと低価格を魅力とするPNDだが、そのさらに低価格なモデルというと、あまりいいイメージを持たない人も多いかもしれない。たしかに、PNDの低価格モデルには安易に開発されたとしか思えない粗悪な「安物」もかつては存在した。しかし、セイワのこれまでのPNDは低価格ではあっても決して「安物」ではなかった。本機も例外でないことを、実際に使って確かめたい。

◆コンパクトボディとクレードルカバーですっきりと

まず取り付け。一般的なPNDと同じように吸盤式のクレードルで固定し、シガーソケットから電源を取る。クレードルはゲルを試用したタイプで、シボの深いダッシュボードでもそのまま固定可能だ。それでも固定できない場合に備えて両面テープで固定するベースプレートも付属する。

また、本体を固定するアタッチメントには、本体を上から差し込むだけで固定できる。このクレードルは安定感が高く、角度調整もやりやすい。かなり優秀なクレードルだといえる。しかも、吸盤部分を覆うカバーが付属しており、これを使うと外観も非常にいい。

本機は7インチのディスプレイを搭載しており、PNDとしては大型ディスプレイを搭載。しかし、このクレードルのおかげもあって、すっきりかつガッチリと固定できる。走行中にグラグラと揺れることもない。電源ケーブルはアダプターがスマートなデザインで、USBソケット付き。クレードルといい、この電源ケーブルといい、低価格なモデルがいかにも手を抜きそうな部分がしっかりと作られていることには好感が持てる。

◆開通したばかりの首都高中央環状線も収録

続いて実際の使い心地を確かめていこう。電源を入れると、メインメニューが表示される。ナビ機能だけではない多機能さを主張したいのかもしれないが、いちいちカーナビボタンをタップするのは面倒。設定でナビ機能がすぐに起動するようにできるので、すぐに設定を変更しておいたほうがいい。ちなみにこの設定では、起動状態を「ナビ+テレビ」、「前回最終モード」などから選べる。これはなかなか便利だ。

ナビが起動すると、当然ながら現在地の地図が表示される。本機はGPSだけで現在地を測位しており、ジャイロセンサーや車速信号は使用しない。しかし、準天頂衛星みちびきにも対応した最新のGPSレシーバーは精度が高く、誤差はほんの僅かだ。

本機は地図のトップブランドであるゼンリンの地図データを採用している。しかも、2015年春版という最新バージョンだ。この地図には3月に開通したばかりの首都高速道路・中央環状線「湾岸線~渋谷線」も収録されている。当然、各種のショップや施設の情報も最新なので、目的地検索で新しいショップが見つからない、ということは少ないはずだ。

その目的地検索のメニューは、住所、電話番号、ジャンルなどの一般的なものの他に、駅名や緯度・経度を備えた充実したものだ。大きな施設では出入り口の指定もできる。メニュー構成などのUIはごく一般的で、可もなく不可もなくといったところだろう。

目的地が見つかったら次はルート検索だが、これも一見するとごく普通に見える。しかし、ルート検索が終わってガイドが始まったところで「ルート」ボタンをタップすると、4ルート同時検索が可能だ。ルートは「おすすめ」「高速優先」「一般道優先」「距離優先」から選ぶことができる。4ルート同時検索をすると検索時間がやや長めになるが、許容範囲内といえるだろう。

続いてルートガイドだが、ジャンクションやインターチェンジのイラスト表示、レーンガイドなど、高級ナビと変わらない機能が満載されている。音声も流暢で聞き取りやすいものだ。ちなみに、こうしたナビ機能のソフトウェアはPIXYDAシリーズの上位モデルと同じだ。エントリーモデルだからといって機能が削られていることはなく、上位モデルと同じ使い心地を実現している。

◆オービス警告や取り締まり警告など安全サポートも充実

本機は初期設定のまま使うだけで、オービス警告が有効になっている。あの自動速度取締り装置に近づくと、事前に警告を発してくれるのだ。必要ない人にとっては全く必要ないが、必要な人にとっては、この機能だけでも本機を選ぶ動機になるだろう。

オービスに近づくとイラストが表示され、同時に音声で警告してくれる。もちろん、地図上にもオービスのアイコンが表示される。警告するタイミングは設定で変更可能。また、音声の警告を警告音に変えることもできる。もちろん、不要であれば警告機能を無効にすることも可能だ。

さらに、過去の取り締まりの情報から、取り締まりが行われている地点を警告する全国取り締まりポイント案内や、交通事故が多い場所を知らせる事故多発地点案内といった機能も搭載している。初めて走る道路ではなかなか心強い機能だ。ほかに踏切警告や急発進警告、合流警告など、本機の安全運転支援機能は非常に豊富で、煩わしいと感じれば自分に必要な機能だけを有効にしておけばいい。

◆充実したAV関連機能、バックカメラ入力も備える

カーナビとしての機能だけでなく、豊富なAV関連機能を持つのも本機の特徴といえる。本体背面のロッドアンテナでワンセグ放送を受信でき、しかも画面を二分割してナビ画面と同時に表示することが可能だ。もちろん、画面全体にテレビを表示することもできるし、ナビ画面にテレビの音声だけを流すこともできる。操作方法は少し特殊な部分もあるが、機能的には十分以上のレベルだといえる。

音楽や動画、写真の再生機能も搭載している。音楽はMP3とWAVの再生に対応。ループ再生、ランダム再生、音質調整も可能で、機能的には全く問題はない。再生したままナビ画面や写真再生に切り替えることも、もちろんできる。また、画面を二分割して片方をナビ画面、片方を音楽プレーヤー画面にすることも可能だ。

音質については、もちろんカーオーディオとは比較するべくもないのだが、ある仕掛けにより、それなりに聞ける音質になっている。その仕掛けとは、クレードルに設けられたサウンドダクトだ。本機のスピーカーは裏面に搭載されているのだが、クレードルに固定すると、スピーカー部分にダクトが密着する。ダクトは「コ」の字型に曲がっており、正面を向いた穴から音が出るという仕組み。

サウンドダクトによる音質の変化は明らかで、特に低音の増強がはっきりと感じられる。かといってあまり高音質を期待されても困るし、オーディオマニアなら問題外だと思うだろう。しかし、本機の音は割れているわけではないし、電話のように不自然の音というわけでもない。この音質で十分という人も多いのではないだろうか。

動画の再生はAVI、MP4、MPGに対応する。かなり高解像度で重い動画ファイルでも問題なく再生でき、カクカクとコマ落ちすることはない。この再生機能そのものはかなり優秀といえるだろう。

◆上位モデルとの違いはタッチパネルやテレビ機能程度

本機のカーナビとしての機能は上位モデルと全く同じといっていい。ではどこが違うのかというと、まずタッチパネルが違う。この春に発表された5モデルのうち、上位2モデルはスマホやタブレットと同じ静電容量式のタッチパネルを採用するが、本機は感圧式だ。軽く触れるだけでなく押す必要があるし、2本の指を使うピンチ操作にも対応しない。だから使いにくいかというとそうでもなく、運転しながら操作する場合などは、感圧式のほうが誤操作が少なく確実に操作できるケースもある。地図のスクロールでは、静電容量式のようにドラックやフリックでスッと動かすことができないが、従来の据え置き型ナビを使い慣れている人にとっては大きな問題ではないだろう。また、表面がガラスの静電容量式のパネルより見た目の高級感が若干落ちるといえるが、これも比較しないとわからない程度だ。

テレビチューナーがワンセグのみということも、フルセグを搭載した上位モデルとは違う点だ。こだわる人には大きな違いだが、気にしないという人も多いはずだ。

こういった違いはあるものの、カーナビとしての機能、性能は同じなのだから、コストパフォーマンスは非常に高いといえる。なにより、上位モデルと同じようにまじめに作りこまれた完成度の高さが、本機の魅力だ。低価格であっても安かろう悪かろうの安物ではないし、実際、使っていて安っぽさは感じない。ナビ機能がしっかり作りこまれていることを最重要視し、テレビ(フルセグ)とタッチパネルへのこだわりを割り切れる人ならば、価格的にも性能的にもこの上ない選択肢と言える。

《山田正昭》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
  2. トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開…北京モーターショー2024
  3. 【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
  4. タイヤブランドGTラジアルよりオールシーズンタイヤ「4シーズンズ」発売
  5. スバルとスカイラインにフィーチャー…第4回アリオ上尾 昭和平成オールドカー展示会
  6. マツダ、電動SUVをサプライズ公開、コンセプトモデル『創 ARATA』とは…北京モーターショー2023
  7. 日産、北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカー4車種を公開
  8. ホンダ『イエ GTコンセプト』が初公開、4ドアクーぺEVで中国トレンドに真っ向勝負…北京モーターショー2024
  9. 中国製部品の急成長で2025年以降日本製の車載半導体は使われなくなる…名古屋大学 山本真義 教授[インタビュー]
  10. Sズキが電動マッサージ器を「魔改造」、25mドラッグレースに挑戦!!
ランキングをもっと見る