【トヨタ カローラフィールダー 試乗】犬にも車中泊にも適した、先進安全装備満載ワゴン…青山尚暉

試乗記 国産車
トヨタ カローラフィールダー W×B
トヨタ カローラフィールダー W×B 全 15 枚 拡大写真

安全装備をパッケージ化した「トヨタ・セーフティ・センスC」がトヨタ初搭載されたのを機に、久しぶりに『カローラフィールダー』に試乗した。

試乗車は「1.8S W×B」。つまり、精悍なブラックボディーにコントラストが効いたブラック×ホワイトのインテリアを組み合わせたガソリンモデルだ。

まずトヨタとして初搭載した「トヨタ・セーフティ・センスC」について説明すると、レーザーレーダーとカメラを組み合わせ、10~80k/hの速度域で作動する自動ブレーキ=プリクラッシュセーフティ、車逸脱を検知するレーンデパーチャーアラート、カメラで先行車や対向車を検知しハイビームとロービームを自動で切り替えてくれるオートマチックハイビームをパッケージしたもので、ベースグレードを除き標準化(ベースグレードのOP価格は5万4000円)。そう、ついにぶつからないカローラ!? になったというわけだ。

そのほかにも先行車の発進を検知して知らせてくれる先行車発進告知機能を新設定。シフト操作時の急発進を抑制するドライブスタートコントロール、急ブレーキ時に自動的にハザードランプを点灯させる緊急ブレーキシグナルを全車に標準装備している。これ以上の先進安全装備を望むとしたら、アダプティブクルーズコントロール(未設定)ぐらいなものだろう。

さて、デビューから3年目を迎えたカローラフィールダー、それも大径16インチタイヤを履くW×Bの走りはさすがにシャキッと引き締まったスポーティーテイストのあるものだ。乗り心地は路面によってゴツゴツしたタッチを伝えるが、あえてW×Bを選択したユーザーにとって許容範囲、いや歓迎したいタッチと言えるかもしれない。

そのぶん、フットワークもスポーティー。曲がりやすく、山道や高速レーンチェンジなどでの安定感も抜群だ。

1.8リットルの4気筒エンジンは静かに、そしてスムーズに回り、アクセル操作に対して柔軟に反応するから実に走りやすく、扱いやすいのが特徴だ。

ただし、標準15インチタイヤなら最小回転半径は4.9mと小回りが利くのだが、この15インチタイヤ装着車だといきなり5.5mと大回りになってしまうのがちょっと残念だ。

ところで、カローラフィールダーは犬を乗せるにも、車中泊するのにも適している…という事実をご存じだろうか?

荷室は開口部地上高が世界の本格ワゴンの平均値より低い570~580mm。中大型犬なら楽々乗り降りできる高さなのだ。後席使用時のフロアは幅1505mm、奥行き970mmと広大。フロア下に前後2カ所の浅めの床下収納があり、フロアに犬を乗せていても、例えば掃除道具やドッググッズを収納しておける。また、後席のシートも低めにセットされているから、リヤドアからも乗り降りしやすいのである。

もっとも、W×Bのシートは真っ白! 犬なんか乗せたら汚れが心配…と思って当然だが、合成皮革で防汚機能付きだからあまり心配はいらない。そもそも直接乗せる方が間違いで、トヨタ純正のペットシートカバーなどを装着すれば問題なしである。

ちなみに後席は十分に広い。身長172cmのドライバーのドライビングポジション基準で頭上に115mmはともかく、ひざ回りには195mmものスペースがあり、ワゴンとしてはたぐいまれにフロアにトンネルの凸がなく完全にフラットだから足元も広々なのである。

一方、車中泊についてだが、荷室の奥行きは後席使用時だと970mmだが、6:4分割の後席をパタンと倒すとベッドになりうるフロア奥行きは1580mm。と、それでは身長160cm以上の人は寝られないじゃないか! と思えるが、そこでヘッドレストを反転させ装着すると、ちょうどいい枕となるヘッドレスト分の長さが加わり、ベッド長は1750mmに達する。つまり、身長175cmまでの人なら足を真っすぐに伸ばして寝ることができるというわけだ。このベッド長を伸ばすアイデア、ほかのワゴンでも使えたりする裏技である。

カローラはセダンだと営業車に使われることも多く、地味に見えたりするが、フィールダー、それも最新のモデルなら顔つきからして精悍。W×Bであればスポーティーワゴンと呼んでいいルックスの持ち主なのである。

今回はモード燃費16.6km/リットルの1.8リットルのガソリン車を試乗したが、モード燃費33.8km/リットルのハイブリッドモデルも用意されているから、モデル選択は自由自在でもある。なお、オススメ度★3つはガソリン車。ハイブリッドなら★4つ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行なっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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