【マツダ ロードスター 試乗】クリッピングポイントに視線を移すだけで身体が自然に操作する…諸星陽一

試乗記 国産車
マツダ ロードスター Sスペシャルパッケージ 6MT
マツダ ロードスター Sスペシャルパッケージ 6MT 全 8 枚 拡大写真

やっとのやっと。量産型『ロードスター』をワインディングで乗る機会がやってきた。しかも梅雨の合間のドビーカンだ。

ロードスターに乗るのはこれで3回目だが、前の2回は雨。オープンカーはやっぱり晴れた空で乗りたい。オープンへの儀式は至って簡単。ソフトトップ前方のロックを室内から外し、後方へまくり上げ、押し込めばロックする。カバーも掛けることなくキレイなオープンスタイリングを実現する。

適度な重さを持つクラッチを踏み込みロードスターをスタートさせる。レッドゾーンの7500回転までスッキリと回るエンジンをコントロールするのはオルガンペダルのアクセルペダル。踏み込み量、踏み込みスピード、ヒール&トゥ、なにをとってもやりやすい。

加速はけっして力強いものではない。マツダが最近注目を受けているディーゼルターボようなトルクフルな感じも受けない。ただ、ひたすら素直。エンジン回転にシンクロしてスピードを上げていく。その素直さが気持ちいいのだ。

足まわりの素直さもいい。ステアリングを切ってからクルマが曲がり始めるまでの絶妙のクイックさ。レーシングカーのような過敏さは備えず、それでいてファミリーカーのようなダルな部分がない。驚くべきはさらに乗り心地もいいのだ。荒れた路面を乗り越えても不快な感じを受けない。コンパクトな2シーターオープンでそれを実現しているのは驚異的なことともいえる。四半世紀に渡りロードスターを造り続けて来た蓄積はハンパなものじゃない。

ねらったラインを正確にトレースするというじつにシンプルな性能を忠実に確保している部分には本当に関心させられる。コーナーの入口でクリッピングポイントに視線を移せばあとは身体が自然に操作する。その操作をうながすためにステアリングに伝わるインフォメーション、シートからのG、ロール感……ここまで計算されているクルマはそうあるものではない。ロードスターに乗るだけで、運転が上手になるのは間違いないだろう。

「Sスペシャルパッケージ」にはトンネルブレースバーやLSDなど走りに影響するパーツがプラスして装着されている。ディーラーから出てきた状態のまま乗ることを前提とするなら、このSスペシャルパッケージをチョイスするのがベストとなるはず。もしカスタマイズを希望するなら、もっとベーシックなSを選べばいい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

《撮影 諸星陽一》

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. アルファロメオの新型SUV『ジュニア』日本発売に、「420万円はリーズナブル」「マジで美しい」など反響続々
  2. トヨタ車体、『アルファード』『ヴェルファイア』をトヨタに生産移管、いなべ工場は商用車専用に
  3. 「まさにアメリカンスポーツの最高到達点」1000馬力越えの『コルベット』にSNSも注目!コスパ最強ハイパーカー誕生か
  4. クーペSUVに進化! アルファロメオ『ステルヴィオ』次期型を完全プレビュー
  5. 背もたれに貼り付いた子どもたちの頭髪に…学術集会で議論された「ジュニアシートの適正使用」【岩貞るみこの人道車医】
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る