【ホンダ シャトル 発売】パッケージング考察…HVとガソリン車の使い勝手が逆転した

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ホンダ シャトル ハイブリッドZ
ホンダ シャトル ハイブリッドZ 全 16 枚 拡大写真

リゾートを意識したコンパクトステーションワゴン、クラッシィリゾーターをコンセプトとしたのがホンダの新型『シャトル』。

先代にあたる『フィットシャトル』とは違い、『フィット』のネーミングを外したのは、ワゴンの独自価値を強調するためだという。基本部分はフィットそのものだが、ラゲッジ、ユーティリティを進化させたところに新型シャトルらしさがある。

◆先代フィットシャトルとのサイズ比較

パッケージ的には先代フィットシャトルに対してホイールベースを30mm伸ばし、鼻先を縮め、リヤオーバーハングを延長。室内では幅方向にゆとりをもたせているのが特徴だ。また、前後席の位置関係は現行フィットと変わらない。

実際、前席頭上スペース、後席頭上&ひざ回りスペースはフィットとはほぼ同じ。具体的には身長172cmのドライバー基準で前席頭上約190mm後席頭上約150mm後席ひざ回り空間約250mmというもので、特にひざ回り空間のゆとりは先代はもちろん、クラスを超えたものと言っていい(先代同180/145/180mm、後席ひざ回り空間はBMW5シリーズツーリング240mm、ベンツEクラスステーションワゴン210mmである!)。

前席でフィットと大きく異なるのはセンターコンソール部分。シャトルは『ヴェゼル』のようなハイデッキコンソールと、サイドブレーキを足踏み式にすることで成立させ新設定。『アコード』並みの長さと上級感あるデザインを実現したというわけだ。

また、シャトルは後席にリクライニング機構を与えている点も新しい(フィットにはない)。後席のリラックス度を高めると同時に、荷室容量を拡大できるメリットもある。

ややこしいのは全高で、カタログスペック上、シャトルは1545mm(先代1540mm)。フィットは1525mm。しかしシャトルはルーフのピークになるシャークフィンアンテナ部分の数値であり、実際のルーフ高は1520mm。フィットより全高、重心高ともに5mm低いのである。ちなみにカタログスペックの室内長がフィットより10mm短いのは、インパネを新設計したことによる、デザイン上の差でしかないから安心していただきたい(短くなっていない)。

注目すべきラゲッジスペースは、容量で言えば先代HVが517リットル、新型は570リットルだ(床下収納を含む)。それだけでも先代よりラゲッジスペースが広がったことが分かるが、実際の寸法もまた拡大している。

開口部地上高は先代とまったく同じ地上540mmという、ステーションワゴンの中でもかなり低い部類であり、重い荷物の出し入れ、ペットの乗降は極めて容易なまま。

しかしフロアは拡大し、後席使用時の奥行きは先代985mmに対して新型は1000mm。前席背後(の基準値)までの最大奥行きは先代1810mmに対して新型は1840mm。幅方向は先代970~1285mmに対して新型は970~1500mmに。特に横方向に広がっているわけだ。また、後席をほぼフラットに格納したときのフロア長はもはや1770mmに達する。

◆使い勝手がHVとガソリン車で逆転?

ところで、先代フィットシャトルはHVとガソリン車ではラゲッジの使い勝手が異なっていた。そう、ガソリン車のみマルチボードを装備し、それをA字に畳むことで後席背後に独立した荷物置き場、ペット用の3列目席!?を出現させることができたのだ。

が、新型はそれを廃止。代わりにもっと身近に、実用的に使える後席背後のマルチユースボックスを「ハイブリッド X、Z」グレードに新設定。ホテルのクロークからヒントを得たというそれは、後席背もたれとほぼ同じ幅の、約7cmの深さがあるワンタッチで格納&展開可能な物入れで、これまでなかった後席に座った人がバッグやマフラー、帽子などをちょっと置いておくのに超便利なスペースなのである。

ラゲッジ床下にワイパブル仕様の収納があるのも便利。スニーカーや汚れ物を入れても心配なしである。

そんなわけで、新型シャトルのラゲッジ回りの使い勝手は、先代のHV/ガソリン車と逆転したとも言える。先代にマルチボードがあったのは床下にバッテリーを積まないガソリン車のみだったが、新型シャトルでその代わりとなるマルチユースボックスが付くのはHVのX、Zのみだからである。現実問題、HVとガソリン車の受注比率は9:1。なおかつHV X、Zで80%を占めるのだから、マルチユースボックスのグレード別装備に関しては、大正解である。

加えて、シャトルには純正アクセサリーとしてラゲッジマット(1万5120円)が用意されるが、これがスグレモノ。フロアにピタリと合うのはもちろん、後席背後までしっかり覆ってくれるほか、荷物の出し入れ時、ペットの乗降時のバンパーのキズ付きを防ぐカバーも付くから完璧だ。愛犬を乗せるにも最高のステーションワゴンである。

《青山尚暉》

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