マツダが4月23日に発売した『デミオ』の特別仕様車、「MID CENTURY(ミッド・センチュリー)」と「URBAN STYLISH MODE(アーバン・スタイリッシュ・モード)」。この2つのモデルの考え方やデザインについて、マツダは6月23日、東京・南青山のCoSTUME NATIONAL LABで説明をおこなった。
「ミッド・センチュリー」と「アーバン・スタイリッシュ・モード」は、デミオで展開される「スタイル・コレクション」の第1弾商品。これは台数限定で希少感を煽る「限定モデル」ではない。廃番とならない限りは誰でも買える、内外装をコーディネートした「特別なデミオ」という位置づけだ。
現行世代を手がけた柳澤亮チーフデザイナーによれば、現行デミオのデザインのポイントは「走りの骨格を作るということと圧倒的な品質感の実現、そしてスタイル・コレクション」という3点なのだという。
「コンパクトカーでカラー展開というと『カラフルな色を揃える』といったことになりがち。しかし『スタイル・コレクション』はそうではありません。マツダがターゲットとする、マツダ車に乗ってほしい人の心に響くものにしたい。先鋭化した、イメージリーダーとなる人に向けて提案していこう、という考え方なのです」(柳澤チーフデザイナー)
それでは、こうした考えから作り出された2台のデミオは、どんな特徴を持っているのだろうか。 「ミッド・センチュリーは真っ赤な内装が特徴。ビビッドなモダンアートの世界をデミオと融合させた、アーティスティックなものです。アーバン・スタイリッシュ・モードは、ハイセンスでスタイリッシュな人に向けて、より洗練させたデザインとしています」。
ミッド・センチュリーと名乗ってはいるが、これはプロダクトデザインの世界でカテゴリー化している「ミッドセンチュリー・スタイル」を模倣したということではない。ここに区分される家具などに代表される、ビビッドな色彩やアート感覚を訴求したということだとか。アートが身近にある、デザイン感度の高い人に向けた提案だという。
アーバン・スタイリッシュ・モードは、おもに女性ユーザーを意識してデザインしたという。とはいえ、男性が乗ってもまったく違和感のない色彩だ。洗練された女性をターゲットにしつつ、甘さや優しさといった典型的な「女性っぽさ」とは異なる方向性を追求したことが、中性的な雰囲気にに繋がっているようだ。「日本でよく言われる『カワイイ』は狙いではありません」と柳澤チーフデザイナー。
こうした明快なメッセージが個性を際立たせ、魅力的にしているのだろう。土井主査は「ノーマルモデルと比べると価格は若干高くなっていますが、提供できている価値と比較すれば『割安だ』と感じてくれているお客様が多い」とユーザーからの反響を説明する。