副作用なし・長期保存可能…画期的な人工血液を中大が開発

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 中央大学は8月3日、災害などで大量に輸血が必要になった時に使える人工血液の研究成果について、ホームページ上に掲載。従来型物質の抱えていた問題のない、新しい人工酸素運搬体製剤の開発に成功したという。

 人工血液を開発したのは、中央大学理工学部の研究グループ。輸血液の代わりに生体へ投与できる人工酸素運搬体(血液代替物)の実現は、次世代医療の最重要課題のひとつ。これまで、さまざまな物質が合成されてきたが、血圧上昇といった副作用や有用性に問題があり、実用化には至っていない。また、赤血球の保存期限は3週間と短く、大震災などの大規模災害時に必要量の血液を確保できない可能性があるという。少子高齢化による献血者の減少も懸念されている。

 研究グループは、ヘモグロビンの分子表面に3個の血清タンパク質であるアルブミンを結合させた新しい人工酸素運搬体クラスターを開発。この物質は生理条件下で安定に酸素を旧脱着することができるという。また、効率高い調製法を確立することで、人工酸素運搬体としての製剤化に成功(製剤名:ヘモアクト)。慶應義塾大学・崇城大学・熊本大学と共同で行った動物実験では、従来型のヘモグロビン製剤を投与した際に見られる血圧の急激な上昇が、ヘモアクトの投与後には見られなかった。また、健康状態や主要臓器の異常なども見られず、従来型物質の抱えていた問題が一切ない新しい人工酸素運搬体製剤であることを示した。

 今回開発された製剤は、血液型に関係なく、いつでも誰にでも使うことが可能。救急医療はもちろん、脳梗塞の治療や医療臓器の保管などにも役立つと期待される。実用化すれば、世界的な市場が見込まれるという。

 この研究成果は、英国ネイチャー・パブリッシング・グループのオンライン総合科学雑誌「Scientific Reports (サイエンティフィック・リポーツ)誌」に、7月29日付で掲載された。

中央大学、安全性の高い人工血液を開発…救急医療に期待

《黄金崎綾乃》

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