新型特急E353系、全席コンセント設置や大型トイレ…車内設備のポイントは

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E353系普通車の室内。「南アルプスと梓川のきよらかさ」がコンセプトという
E353系普通車の室内。「南アルプスと梓川のきよらかさ」がコンセプトという 全 15 枚 拡大写真

このほど完成した、JR東日本の中央本線特急向け新型車両「E353系」量産先行車。未来的な外観や走行面での新技術に加え、車内も全席へのコンセント設置や改良型ハンドル形電動車いす対応の大型トイレなど、さまざまな工夫がみられる。車内設備のポイントをまとめた。

【客室】
E353系量産先行車は基本編成9両+付属編成3両の12両編成。号車番号は付属編成が1~3号車、基本編成が4~12号車となっているが、このうち基本編成の1両(9号車)がグリーン車で、その他は普通車だ。

座席の配置は普通車、グリーン車ともに2列+2列で、シート前後間の間隔(シートピッチ)は普通車が96cm、グリーン車が116cm。特急『あずさ』などに使われているE257系と同じだ。12両編成での座席数は、普通席が656席、グリーン席が30席の計686席。現行の『スーパーあずさ』E351系は普通席663席、グリーン席50席の計713席のためやや減った。バリアフリーに対応した大型トイレや多目的室の設置が理由という。

内装のコンセプトは普通車が「南アルプスと梓川のきよらかさ」で、青系のシートにグレーが主体のシンプルなデザイン。グリーン車は「機能性と高揚感、クラス感」がコンセプトで、落ち着いた赤系のシートに、通路と天井に配された鮮やかな赤が印象的だ。普通車、グリーン車とも、シートのまくら部分は上下に動かせる可動式となった。

普通車、グリーン車とも全席にパソコンを置ける大型テーブルとコンセントを設置。E351系はコンセントがなく、テーブルも小さめだったため、車内でパソコンなどを利用する際の利便性が大きく向上する。コンセントは車端部の席がひじかけの下、その他の席は前席の下部に設けられている。

空調は各席ごとに風向きや風量を調節できる個別吹き出しで、各席上の荷棚の部分に設置。室内には空気清浄機も設置した。客室の照明には、同社の在来線特急車両で初めてLED(発光ダイオード)による間接照明を採用。車端部にはフルカラーLEDによって行先や停車駅案内、ニュースなどを2段表示できる案内表示機を設置した。床は静粛性を高めた構造で、グリーン車はカーペット敷き。普通車はゴム床で、歩行音が小さくなるという。

【その他の車内設備】
バリアフリー対応では「改良型ハンドル形電動車いす」に対応した大型トイレを2号車(付属編成)と9号車(基本編成・グリーン車)に設置。2・9・10号車には車いす対応座席を設けた。自動体外式除細動器(AED)も9号車に設置している。このほか、多目的室を基本編成・付属編成それぞれに1カ所設けている。

このほか、特急『成田エクスプレス』のE259系や常磐線特急のE657系と同様、デッキには防犯カメラ、各客室とトイレ内には乗務員と連絡できる非常通話装置を設置した。

新採用の「空気ばね式車体傾斜装置」により、E351系と比べ乗り心地がより向上するというE353系。全席へのコンセント設置や大型トイレなど、さまざまな利用者に合わせた設備が売りだ。今回の車両は量産先行車として、各種試験を行ったうえで今後製造される予定の量産車に反映させる。JR東日本長野支社運輸部の加藤功車両課長は「東京などから来られる多くのお客様に快適にご利用いただける車両にしたい」と話していた。

《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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