12年ぶりのフルモデルチェンジを受けた『シエンタ』はハイブリッドとガソリンエンジン、2つのパワーユニットを持つ。
装備差などもあるがハイブリッドはボトムモデルの車両本体価格が222万6763円と200万円を超えるが、ガソリンエンジン車の場合はもっともリーズナブルなモデルだと168万9709円とかなり買いやすい価格から用意されている。
試乗車はGグレードなので198万327円のプライス。ハイブリッドGとの価格差は、約35万円となる。なおボトムグレードも走りについては同じ印象となるはずだ。
搭載されるエンジンは1.5リットル直列4気筒で、最高出力は109馬力。ミッションはCVTが組み合わされる。ハイブリッドモデルに比べると、出足の力強さにちょっと差を感じるが走り出してしまえばその差はほとんどない。CVTも使い勝手がよく、すっきりと加速していく。
足まわりはゆったりとしたセッティング。昔のトヨタ車のように完全に乗り心地に振ったセッティングで、後ろの席に人を乗せて日本の道路で使う際にはベストマッチする味付け。とくに後ろの席に乗ると、このサスペションの味付けのよさは何十倍にも感じることができる。段差を乗り越えた際のコツコツ感などは上手にカットされ、とにかく快適なのだ。
セカンドシート、サードシートと後ろにいくにしたがって着座位置が高くなるシアターレイアウトシートを採用しているシエンタ。サードシートに乗っても視界は良好だった。しかし、これはセカンドシートにどんな体型の人が乗るかによって変わることなので、一概には断定できない。
サードシートへのエントリーは、セカンドシートをフォールディングして行う。サードシートに座るとレッグルームに少し不満を感じるが、これはセカンドシートを少し前にスライドさせてもらえば大丈夫。ただし、セカンドシートを前にスライドしてしまうと、フォールディング時にフロントシートにぶつかってしまい、フォールディングが中途半端となって乗降性が悪くなる。セカンドシートの乗員が降りる際に一度後ろまでスライドさせてフォールディングしてくれればいいが、それを望むのはちょっと難しいかもしれない。サードシートでも乗り心地が悪いとは感じないが、セカンドシートに比べてタイヤノイズなどが耳に入る。
ガソリンエンジンモデルのJC08モード燃費はFFで20.2~20.6km/リットル。ハイブリッドは27.2km/リットルを実現している。ハイブリッドは税金面で有利な点があるが、それを含めても価格差を吸収するのはむずかしい。
少しでも出費を抑えたいなら、ガソリン車を選ぶのは賢明な選択となるだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。