0-100km/h加速5.3秒、最高速度260km/h。カタログを開けばそんなスペックが載っている『Fタイプ コンバーチブル』。とはいえ粗暴さとはまったく無縁なところは、いかにもジャガーらしい。
サルーンに較べると、圧倒的に低いポジションはスポーツカー度プンプンといったところ。高めのコンソールに備わるシフト、立ち気味のステアリングなど、いったん姿勢を整えれば、最良のリーチで操れる。装備や機能に応じた数のスイッチ類が並ぶ運転席だが、配置は合理的で操作にまごつかない。眼前の奇をてらわない意匠のメーターも実に見やすい。
逆説的だが、前後して試乗したセダンの『XE S』とはほぼ同重量のボディだが、身のこなしは非常にしなやか。同時にオープン走行で山道をこなしても、しっかりとしたボディが実感できた。試乗車はオプションの19インチタイヤ(ピレリPゼロ)だったが、乗り味に粗さなどまったくなく、セダンのような快適性も味わえた。
3リットルのV6スーパーチャージャーを搭載、8速ATとの組み合わせで、ジェントルだが切れ味のいいパワー感を味あわせてくれる。高回転での刺激的な排気サウンドは、しかるべき場所でこのクルマを走らせる時のオーナーの密かな楽しみのひとつだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。