名古屋大学ら、開発済み自動運転システム一式をオープンソース化…加藤准教授「時間をジャンプ」

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東京・六本木で開催されたZMPフォーラム(8月25~27日)のようす。25日には、名古屋大学情報科学研究科の加藤真平准教授による自動運転システム用オープンソフトウェア「Autoware」の解説も実施された
東京・六本木で開催されたZMPフォーラム(8月25~27日)のようす。25日には、名古屋大学情報科学研究科の加藤真平准教授による自動運転システム用オープンソフトウェア「Autoware」の解説も実施された 全 11 枚 拡大写真

名古屋大学情報科学研究科の加藤真平准教授は、東京・六本木で開催されたZMPフォーラム(8月25~27日)で、名古屋大・長崎大・産総研の共同研究による自動運転ソフトウェア「Autoware」のオープンソース化にいたる経緯などを語った。

このAutowareは、そのベータ版がすでにダウンロード可能で、正式版がことし8月末にリリースされる予定。また既報のとおり、ZMPの自動運転技術開発プラットフォーム『RoboCar PHV/HV』にこのAutowareが実装され、自動運転システム実験車両として1780万円~という価格で発売される。実験車両といえどもナンバー取得可能かつ、交通量が多い一般道で40~60km/hで自動走行が可能な自動運転車両の発売である。

世界の企業や研究者がしのぎをけずる“頭脳”ともいえるソフト部分を、いま、なぜ無償公開するのか。加藤准教授は「研究者として自動運転は非常に魅力的である。交通事故や渋滞、物流や高齢化など社会的課題を解決できる技術であり、かつ技術課題が山積しているテーマでもある。

私たちが経験した、どこから手を付けていいのかわからないレベルのころからいままでの時間の成果をオープンソース化することで、続く研究者や開発者に時間をジャンプしてもらいたい。多くの研究者がAutowareをベースとして開発してもらうことで、我々もフィードバックを受けることができる。オープンイノベーションを起こし、結果としてデファクトスタンダードにつながるとしたら共同研究パートナーや支援企業にもメリットになると思う」と伝えた。

また、加藤准教授は、こうしたフィードバックのイメージについて、「Autowareの特徴はクラウド利用だという。(情報提供の許可を得た)実験車両から集められたデータは、クルマ単体に保存されるのではなく、クラウドにアップロードされるところがポイント。クラウド上で実験車両の位置情報データなどが共有されて、3次元地図の精度が上がっていく」とも語った。

クラウド上にアップロードされた複数の実験データは「自動的に名古屋大学のデータセンターに集められる」と加藤准教授。複数の研究成果が蓄積されていくプロセスについて「位置認識のためにクルマ単体に少しだけデータをためておき、クルマが自動運転経路から大きくはずれるときなどは、クラウドから3次元地図データをダウンロードするという具合。研究パートナーたちによるマスター地図がクラウド上にあって、そのデータをプロバイダが最新の地図にアップデートしつつ、さらにフィードバックを得ながら最新データを共有するというイメージ」とも話していた。

会場では、Autowareによる3次元地図生成プロセスをはじめ、自己位置推定、物体検出、経路生成、経路追従といったシチュエーションも動画で紹介された。

《レスポンス編集部》

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