【メルセデス AMG GT S 試乗】胸にぐいぐいせまってくるなんて、ちょっと危険でやばい…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
メルセデス AMG GT S
メルセデス AMG GT S 全 12 枚 拡大写真

存在するだけでただならぬ気配がたちこめる。それこそが、メルセデスが立ち上げた新たなブランド、「Mercedez-AMG」の狙うところなのだろう。

GTは、『SLS』の後継に当たるが、SLSのようにガルウィングで周囲にアピールすることはない。ただ、ドアを開けるときはドライバーにだけ、ちょっとした驚きと感動をもたらす。軽いのだ。このボリュームあるボディからは想像できないほど軽い。さすがアルミである。

そして、後ろへまわってテールゲートを開けるとさらに驚愕する。この面積でありながらこの軽さ。ダンパーはもちろんついていて腕力は必要ないとはいえ、手をかけたときにその軽さは明らかに伝わってくる。アルミよりも軽く、強度も高いという高強度スチールがその正体というが、クルマに乗り込む前からいちいち、どきっとさせられる。

運転席に座るとすごい包まれ感に圧倒される。助手席とのあいだに設けられたスイッチの数々とその配列。心地よい圧迫感からくる動悸を押し殺してエンジンをスタートさせると、これまた音の演出で身震いする。排気音を聞くためだけにアクセルを踏みたいくらいだ。走行中に運動性能を変える、AMGダイナミックセレクトコントローラーで「S+」に入れると、加速の機敏さや足回りのがっちり感の変化もさることながら、音の変わりようがハンパない。

赤信号にあわせてブレーキを踏むと、勝手に行うシフトダウンにあわせたエンジン回転数の上昇に加えて、パンババババ!という心臓につきささるような弾ける音が響く。車内にいながらにしてこの音ならば、外の方々にはいったいどんな音楽を披露しているのかと思うと、冷や汗ものである。もちろん、三割くらいは優越感なのだが。

スポーツカーは、走らせる道がないとつまらないと思うものの、このクルマは走る前から体温を上昇させる。ついでに、加速したりコーナリングをクリアするときよりも、ブレーキを踏んだときに胸にぐいぐいせまってくるなんて、ちょっと危険でやばいと思う。

こんなにヤバくていいのか。ゆえに、価格を含めて、オススメ度の★はあえて低くしておきました。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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