【メルセデスベンツ S300h 発表】1000万円を切る価格設定の理由

自動車 ニューモデル 新型車
メルセデスベンツ S300h
メルセデスベンツ S300h 全 8 枚 拡大写真

メルセデス・ベンツ日本から発売されたディーゼルハイブリッド『S300h』の価格は、1000万円を切る998万円という戦略的な値付けとなった。

この意図について、同社営業企画部商品企画1課の渡辺彬さんは、「近年、Sクラスの価格は1000万円以上が当たり前だった。一方、Sクラスはより広いユーザー層にアプローチしたいという課題も抱えていた」と述べる。

Sクラスはロイヤルカスタマーと呼ばれるSクラスからSクラスに乗り換えるユーザー層があり、そこは安定基盤として存在しているが、台数を伸ばすためには他からの流入も必要だ。そこで、「4ケタの価格がどうしてもユーザーの心理的バリアになっていることを感じていたので、S300hという全く新しいパワートレインを持ったクルマで、かつ、3ケタの魅力的な価格を打ち出すことが、相乗効果もあり一番いいのではないかと考えた」という。

そして、競合としては「同じドイツ車以外に、日本の高級ブランドからも獲得したい」と渡辺さん。「ブランド力だけでなく、ディーゼルハイブリッドであることと、魅力的な価格によって、アプローチしたい」とし、「この価格で興味を持ってもらい、しかしガソリンの方が良いといわれれば、Sクラスの他のラインナップも紹介できる」と選択肢増によるメリットもあると話す。

そういったことから、「S300hとS400h の装備差はほぼないといってよく、また、S400hエクスクルーシブとS300hエクスクルーシブも、AMGラインの有無はあるにせよ、それ以外の標準装備は全く同じ。この考え方は他のグレードも同様だ」と説明。これはユーザーにもセールスマンもわかりやすく、また説明がしやすいことから、「パワートレインによる価格差はあるものの、ユーザーの志向に合わせて柔軟に選択できるようなグレード構成にしている」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「本当に世に出るとは」わずか1トンの車体に800馬力V12を搭載、「超アナログ」なスーパーカーにSNS沸く
  2. BMW『8シリーズ』初代オマージュの「エディション M ヘリテージ」登場、世界限定500台
  3. スズキの人気トールワゴン『ソリオ』開発責任者が語る、「顔だけじゃない」マイナーチェンジの真価
  4. マイバッハ初の2シーターオープン「SL 680 モノグラム」米国発売へ、約3315万円から
  5. ニックネームは“赤いコスモ”、50年前に登場した2代目ロータリースポーツ【懐かしのカーカタログ】
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る